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Dec 30.2025, 14:25:30
SMT実装工程において「真空リフロー」は、名称からして高度な特殊工法という印象を持たれがちですが、実際にはどのような技術で、どのような実装課題を解決するために用いられるのでしょうか。結論から言えば、真空リフローは通常のリフローでは対応が難しい「ボイド 気泡 濡れ不良」といったはんだ付け不良を根本的に低減するためのSMT向け高付加価値工法です。特にBGA QFN 大電力部品などの高難度実装において大きな効果を発揮します。通常リフローはんだ付けの限界とは一般的なリフローはんだ付けは、大気環境下で温度プロファイルを制御し、はんだペーストを溶融させることで部品端子とPCBパッドを接合します。しかし大気中での加熱工程には、構造的に避けられない課題があります。第一に、はんだペースト中のフラックス成分が加熱時にガス化し、そのガスがはんだ接合部内に閉じ込められることで、ボイドや気泡が発生しやすくなります。第二に、加熱中の酸素によるパッドや端子の酸化が進行し、はんだの濡れ性が低下することで、虚はんだや濡れ不良の原因となります。チップ抵抗やコンデンサなどの一般部品では大きな問題にならない場合もありますが、高密度 高信頼性を要求される基板では致命的な欠陥につながる可能性があります。精密部品で顕在化するボイド問題例えばBGAパッケージでは、チップ底面に数百から数千個のはんだボールが配置されています。これらのはんだ接合部にボイドが存在すると、放熱性能や電気的接続信頼性が大きく低下し、動作不安定や早期故障の原因となります。また、大電流を扱うMOSFET IGBT LEDなどの大電力部品では、ボイドによって局所的な発熱が発生し、最終的にははんだ接合部の焼損につながるリスクもあります。真空リフローはどのように問題を解決するのか真空リフローは、はんだが液相温度に到達したタイミングで炉内を真空状態にする特殊なリフロー工法です。一般的な真空度は10から100Pa程度まで制御されます。この真空環境下では、溶融はんだから発生するガスが迅速に排出され、はんだ接合部内に残留しにくくなります。その結果、ボイド率を大幅に低減することが可能です。さらに、酸素が遮断されることで酸化反応が抑制され、はんだの濡れ性が向上し、安定した接合品質を実現できます。真空リフローが効果を発揮する主な実装シーン第一に、BGAやQFNなど...