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サーミスタ回路の基板設計|NTC・PTCの使い分けと配置・温度測定・回路保護

54 0 Oct 19.2026, 17:42:33

サーミスタ回路を基板に実装するときは、部品を選ぶだけでなく「何の温度を測るのか」「異常時に何を保護するのか」を先に決めることが重要です。NTCによる温度測定では、回路の読み取り条件に加え、センサの位置や周囲の熱の流れが結果に影響します。一方、PTCは温度検知用と電流保護用で部品や回路の考え方が異なります。PCBgogoの基板製造・部品実装を検討する場合も、測定対象と部品仕様を製造データに反映できる状態に整理しておくと、試作前の確認が進めやすくなります。

先に決めるのは、測温・過熱検知・電流保護のどれか

「サーミスタを使う」という情報だけでは、必要な回路や基板上の配置は決まりません。まず、読み取った温度を制御に使うのか、設定温度を超えたことを検知したいのか、過電流時に回路を保護したいのかを分けます。

  • 温度を連続的に読み取り、制御や記録に使う:測定範囲と読み取り分解能を決める

  • 部品や装置の過熱を検知する:保護対象と検知位置、動作後の復帰条件を確認する

  • 過電流や突入電流を抑える:対象回路の通常電流と異常時の電流条件を確認する

NTCは温度上昇に伴って抵抗値が下がるタイプ、PTCは温度上昇に伴って抵抗値が上がるタイプを指します。ただし、NTCが測定専用、PTCが保護専用という意味ではありません。PTCにも過熱検知用と電流保護用などがあり、用途は部品の特性と回路構成で判断します。

NTCの選定では測定範囲と読み取り条件を先にそろえる

NTCの候補を絞る前に、最低・最高温度、常用温度、必要な測定範囲を整理します。さらに、基準温度での抵抗値(R25)、B定数、各公差、許容電力など、候補部品のデータシートで照合する項目を決めます。

ここでの目的は、数値の大きさだけで部品を選ぶことではありません。測定範囲内で抵抗値がどう変わるかを確認し、読み取り回路と組み合わせたときに必要な分解能を得られるかを見ます。ADCの入力範囲、基準電圧、分圧抵抗、読み取り方法も回路側の条件として合わせておきます。

R25やB定数、公差の意味や測定条件は製品ごとに確認が必要です。具体的な型番が決まっていない段階では、特定の抵抗値や精度を一律の推奨値として扱わず、設計要件とデータシートを対応させます。

NTCの抵抗変化を回路の読み取り値に変換する

NTCは温度によって抵抗値が変わるため、一般には固定抵抗との分圧などで電圧に変換し、マイコンのADCなどで読み取ります。温度と出力電圧の対応は、NTCの特性、分圧抵抗、電源・基準電圧、ADCの条件を合わせて確認します。回路方式が同じでも、部品値や読み取り範囲が違えば出力の使い方は変わります。

測定誤差の一つが、読み取り電流によるNTC自身の発熱です。電気的な負荷が大きいほど自己発熱が測定に影響しやすくなるため、必要な読み取り速度や回路条件を保ちながら、部品に加わる電力を確認します。公差や温度―抵抗特性のばらつきも含め、想定温度範囲で出力がどう変わるかを評価する必要があります。

したがって「この回路なら何度まで正確に測れる」と一般化するのではなく、採用するNTCのデータと実際の回路条件を使って確認します。特定型番の数値例を掲載する場合は、その型番の現行データシートと測定条件を明記できることが前提です。

基板上の位置は、何の温度を測るかに合わせる

NTCが読み取るのは、基本的にセンサ自身の温度です。発熱部品の表面温度を知りたいのか、基板の局所温度を監視したいのか、装置内の周囲温度を測りたいのかによって、配置の考え方が変わります。発熱源の近くに置けば常に対象温度と一致する、という単純な関係ではありません。

熱源からセンサまでの距離だけでなく、基板材料、銅箔やサーマルビアを通る熱の経路、部品の配置、筐体や取付面との接触も温度差に関係します。メーカーの基板シミュレーション事例でも、特定のLED基板では熱源とNTCの間隔や基板構造により両者の温度差が変化しています。ただし、そこで示された寸法や温度差はそのモデル固有の結果であり、他の基板にそのまま適用できる設計基準ではありません。

配置を決めるときは、測定対象からセンサまでの熱経路を図面上で追い、近傍の発熱部品や銅箔が読み取りに与える影響を確認します。必要に応じて試作で、対象物・基板・センサの温度を同じ条件で比較できるよう、測定位置と評価条件も事前に定めます。

NTCサーミスタの熱経路概念図

PTCは検知用と電流保護用を分けて確認する

PTCは温度上昇に伴って抵抗値が増える特性を持ちますが、過熱検知用と電流保護用では回路上の役割が異なります。過熱検知用は、対象部品の温度をどの位置で検知し、設定温度付近で回路がどう判定するかを確認します。検知後の停止・制限や、冷却後の復帰条件もシステム側で定めます。

電流保護用PTCには、過電流保護用と突入電流制限用があります。過電流保護用では、異常電流による自己発熱で抵抗値が上がり、電流を制限するタイプがあります。一方、突入電流制限用は、電源投入時にコンデンサへ流れる充電電流などを抑える用途で、過電流が継続する状態への保護とは目的が異なります。

突入電流制限では、回路によって起動後にリレーやサイリスタでPTCをバイパスする構成もあります。これは特定の回路例であり、すべてのPTCや電源回路に共通する構造ではありません。PTC単体の特性だけでなく、起動時と定常時の回路動作を確認してください。いずれの用途でも、通常電流、異常時の電流、定格電圧、周囲温度、熱結合、冷却後の復帰条件を、採用部品のデータシートと回路条件に照らして確認します。

製造・部品実装の試作前に確認する項目

回路設計がまとまったら、電気的な条件と製造データが一致しているかを確認します。特にサーミスタは配置が測定・保護の意図に関わるため、単に部品が基板に載るかだけでなく、狙った熱経路を実現する位置になっているかも見直します。

  • 部品型番、抵抗特性、定格、温度範囲が回路図・BOM・実装データで一致している

  • フットプリント、ランド寸法、部品の向きが採用部品の資料と整合している

  • 測定対象、サーミスタ位置、近傍の発熱部品、銅箔や取付面の関係を設計意図として説明できる

  • 部品データシートにあるはんだ付け・実装上の制限を確認し、実装条件との適合を相談できる

  • ガーバーデータ、部品表、部品座標、回路図の版がそろっている

PCBgogoの部品実装サービスを利用する場合、実装の可否や部品調達条件は案件内容に応じて確認が必要です。サーミスタの測定精度や回路動作そのものを製造側が保証すると解釈せず、設計で確認済みの仕様と、製造・実装側に確認したい項目を分けて伝えます。基板設計データの一般的な確認事項は基板設計ルールも参照できます。

見積もり時に共有したい情報

基板製造または部品実装の見積もりでは、ガーバーデータや製造仕様に加え、実装を依頼する場合はBOMと部品座標をそろえます。サーミスタについては、型番、測定対象、想定温度範囲、実装位置の意図、はんだ付け上の注意点を添えると、確認事項を具体化しやすくなります。

温度測定の合否判定や保護動作の評価まで依頼したい場合は、必要な試験条件・治具・判定基準を別途明示し、対応可否を事前に確認してください。本稿では、そのような評価サービスが常に利用できるとは約束しません。

PCBgogo - 基板製造のお見積もり基板製造の見積もり条件や入稿データを確認できます。部品実装を含む場合は、部品表や実装データもあわせてご用意ください。基板製造の見積もりを確認する

サーミスタ回路の基板設計では、部品選定と同じくらい、測定対象・読み取り条件・熱の伝わり方をそろえて考えることが大切です。NTC測温、PTC保護、基板上の配置をそれぞれの目的に合わせて確認し、型番と製造データを一致させたうえで試作へ進めましょう。

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