ワイヤレス充電モジュールのFOD設計|シールドと部品間隔の確認ポイント
ワイヤレス充電モジュールの異物検出(FOD)を確認するときは、コイル単体や裸基板だけで判定を終えないことが重要です。シールド、筐体内の金属、受電機器との位置関係が変わると、検出に使う測定値や損失の基準も変わり得ます。本記事では、採用するIC・モジュールの資料を起点に、最終製品の構成で何を確認すべきかを整理します。
重要ポイントFOD設計では、製品に組み込まれる金属と、給電面に入り込む異物を区別します。そのうえで、最終組立状態を基準に、採用方式の手順で校正・検証することが判断の中心です。
FODは何を検出し、何と区別するのか
FODはForeign Object Detectionの略で、ワイヤレス給電の領域に入り込んだ金属などの異物を検出するための機能です。異物が給電エネルギーを吸収すると発熱につながるおそれがあるため、対応するシステムでは検出結果に応じて給電を制御します。ただし、検出方法や動作はIC、製品構成、適用する規格によって異なります。
ここで区別したいのは、筐体の金属部品やシールドなど、もともと製品に存在する部材です。これらは異物そのものではありませんが、測定の基準に影響する可能性があります。「金属があるからFODが働くはず」とも「シールドがあるから問題ない」とも判断せず、完成状態での評価対象に含めます。
採用方式の検出指標を先に確認する
FODの実装には、給電開始前のコイルのQ値や共振特性をみる方式、給電中の送受電間の電力損失を評価する方式などがあります。公式のFOD調校資料でも、これらは測定とパラメータ調整を分けて扱っています。一方、すべての機器が同じ指標を同時に使うわけではありません。
まず採用IC・モジュールの資料で、使用する指標、必要な受電側情報、校正ツール、ファームウェア設定、判定手順を確認します。指標を特定しないまま部品間隔だけを詰めても、どの変化を検出系が見ているのか判断できません。数値のしきい値や試験条件は、対象方式の公式資料に従ってください。
シールドと部品間隔は「測定基準の変数」として見る
コイルの背面シールド、近接する基板の銅箔、電池、コネクタ、ねじ、筐体の金属部などは、配置によってコイル周辺の磁気的な状態や損失に関わります。特定の送電IC向け調校資料では、受電側のシールドや製品に元からある部材を考慮してQ値・共振周波数の係数を求めます。つまり、部材を一つ動かしただけでも、従来の校正結果を無条件に流用できるとは限りません。
設計レビューでは「部材の有無」だけでなく、コイルとの位置、重なり、間隔、固定方法、量産時のばらつきを確認します。どの変更で再校正が必要かは採用方式の資料と評価結果に基づいて決めます。一般的なコイル周辺の配置や電力経路については「ワイヤレス給電の基板レイアウト」で整理しています。

検出に使う信号と設定を切り離さない
送受電電力の測定、共振特性の取得、通信など、FODの判断につながる信号や設定は方式ごとに異なります。対象ICの推奨回路とレイアウト資料に照らし、検出に使う配線、測定部品、電力スイッチング経路との関係を確認します。一般論として「地を分割すればよい」といった処方に置き換えず、採用ICの指示を優先します。
発熱やノイズの改善は重要ですが、それだけではFODが所定の異物を検出できる証明にはなりません。運転中の温度やEMIの切り分けは「ワイヤレス充電モジュールの発熱・EMI対策」で扱い、本記事では検出機能の有効性に絞ります。
最終組立状態で校正・検証する
評価用ボードでFODが動いても、コイル、シールド、筐体、電池、受電機器の位置やファームウェア設定が実製品と違えば、その結果だけでは最終構成を判断できません。採用方式の公式手順に沿って、異物のない目標構成で基準を確認し、規定された異物条件で検証します。試験片、置き方、しきい値、動作時間をこの記事から一律に指定することはできません。
校正中の受電機器の位置を安定させることを求める公式の実演資料もあります。位置ずれを含む実使用条件をどう評価するかは、これとは分けて対象方式の検証計画に組み込みます。組立部材、コイル、シールド、ファームウェアを変更した場合は、校正と検証の有効範囲を再確認してください。
設計レビューで残すべき記録
最低限、送電・受電ICまたはモジュールの型番、適用する規格と版、コイル・シールド・筐体の構成、部品間隔、校正に使った機器と設定、異物検証の結果を同じ構成番号で結びつけておきます。未確定項目は推測で埋めず「要確認」として管理します。これにより、後で部材や配置を変えたとき、どの結果を再評価すべきか追跡しやすくなります。
設計データを製造に渡す段階でも、基板上の配置だけでなく、最終製品の部材条件を関係者間で共有することが大切です。PCBgogoで基板製造の相談を進める場合も、製造仕様として確定した内容と、製品側で別途検証するFOD条件を分けて整理してください。
PCBgogo - 基板製造の仕様確認に確定した基板の層構成・材料・寸法などを整理し、製造条件と見積もりを確認できます。FODの校正・検証条件は採用する無線給電方式に沿って別途ご確認ください。プリント基板の見積もりを確認する