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基板の放熱設計|電池近傍で考える銅箔とTIMの使い分け

30 0 Oct 07.2026, 11:12:10

重要ポイント電池近傍の基板放熱設計では、銅箔・サーマルビアで基板内に熱を広げる経路と、TIMで基板や部品から筐体・放熱部品へ熱を渡す界面を分けて考えます。熱源から最終的な放熱先までを確認し、電池セルの温度条件も別に管理することが重要です。

充電ICや電源部品が電池の近くにある小型機器では、部品の発熱を抑えながら、セルへ不要な熱が伝わらない構造を考える必要があります。銅箔を増やす、TIMを追加する、といった単独の対策だけでは、熱の行き先まで決まらないことがあります。

この記事では、基板の銅箔・サーマルビアとTIMの役割を比較し、電池近傍で確認したい熱経路、電気・機械との両立、試作時の評価方法を整理します。特定の材料や寸法を一律に推奨するのではなく、部品仕様と製品条件に沿って設計を進めるための考え方を扱います。

電池近傍の基板では発熱源から放熱先までを一つの経路として見る

放熱設計では、発熱する部品だけでなく、発生した熱がどこを通り、最終的にどこへ逃げるかを考えます。基板上の熱源から周囲環境までの経路は、たとえば「部品の接合部・パッケージ → 基板の銅箔やビア → 基板表面または筐体・放熱部品 → 周囲環境」と整理できます。

熱源の候補には、充電IC、スイッチング電源IC、MOSFET、電流検出抵抗、インダクタなどがあります。実際の発熱量や温度は、入力電圧、負荷、動作モード、効率、周囲温度、基板構造などで変わるため、対象回路の条件を基に確認します。

電池セルは、発熱部品の熱を逃がすためのヒートスプレッダとして安易に使いません。セルの温度条件は採用セルの仕様と機器の充電・保護設計に従い、ICの温度対策とは分けて確認します。

銅箔とTIMは熱経路の異なる部分を担う

銅箔とTIMは単純な二択ではありません。銅箔やビアは基板内で熱を拡散・移動させ、TIM(Thermal Interface Material、サーマルインターフェースマテリアル)は部品・基板と筐体や放熱部品の接触界面をつなぐ材料です。必要な熱経路に応じて、両方を組み合わせる場合もあります。

比較項目銅箔・銅プレーン・サーマルビアTIM
主な役割熱を基板面内や他の銅層へ広げる接触界面の隙間を埋め、熱を隣接する筐体・放熱部品へ渡す
主に関係する経路部品から基板内・基板表面への熱伝導部品・基板と接触相手の間の界面熱抵抗
確認する条件部品推奨レイアウト、銅領域、層構成、ビア、電気的接続厚み、接触面、圧縮・荷重、絶縁性、組立公差
単独では解決しない点基板から筐体・周囲へ熱を渡す接触経路熱を最終的に逃がす筐体・放熱部品・周囲への経路

電池近傍の基板で発熱ICから銅箔・サーマルビア、TIMを経て筐体へ熱を逃がす経路とセル温度センサーを示す断面図

銅箔・サーマルビアは基板内の熱拡散経路

露出パッドを持つ部品では、部品データシートの推奨ランドや実装条件に従って熱を銅領域へ伝えます。必要に応じてサーマルビアを使い、内層や反対面の銅領域へ熱を広げます。

銅面積を増やすことが熱拡散に役立つ場合はありますが、面積だけで部品温度を保証することはできません。銅厚、基板面積、層構成、銅箔のつながり、筐体との接触、周囲の気流なども関係します。

ビアの寸法や配置は、対象パッケージの推奨レイアウト、はんだペーストや実装条件、製造条件に合わせます。サーマルパッドの接続先は、GNDなど回路上正しいネットかを確認し、熱だけを理由に電気的な接続条件を変えないようにします。

TIMは界面をつなぐが、放熱先そのものではない

基板や部品と筐体・ヒートスプレッダの表面には、平坦度や組立公差による微小な隙間が生じることがあります。TIMはこうした隙間を埋め、空気層を介した接触より熱を伝えやすくするために用いられます。

材料選定では、カタログに示された熱伝導率だけでなく、実装時の厚み、圧縮後の厚み、接触面積、押し付け荷重、絶縁性、部品・筐体との適合性、経時変化などを確認します。材料の熱伝導率が高くても、厚すぎる層や接触の悪い界面では、期待する熱経路にならないことがあります。

また、TIMの反対側に十分な熱容量や放熱面積を持つ筐体・放熱部品がなければ、界面だけを改善しても熱の出口は確保できません。どの部品からどこへ熱を運ぶのかを断面構造で確かめます。

電池近傍で配置・材料を決める前に4項目を確認する

1. 発熱条件と熱源の位置

充電ICや電源回路の損失は、入力条件、電池電圧、充電電流、負荷、変換効率、動作状態によって変わります。通常動作だけでなく、製品として想定する高負荷や周囲温度など、評価する条件を設計・試験担当者と定義します。

複数の部品が近接している場合は、一つずつの温度だけでなく、同時動作時に熱が重なるかも確認します。部品位置、銅層、筐体接触、電池との距離を同じレイアウト上で把握すると、熱の通り道と避けたい領域を検討しやすくなります。

2. 電池セルと温度センサーの条件

充電・放電時の温度範囲、セル近傍の温度検出、保護動作などは、採用するセル・パックと充電回路の仕様を確認します。セル温度を監視するNTCサーミスタと、充電IC自身の温度を制御する機能は、測定対象も役割も異なります。

そのため、ICが過熱を抑える機能を持つことだけで、セルが適切な温度に保たれるとは判断できません。センサー位置、セルとの熱的な接触、充電制御条件は、製品構造と採用部品の仕様に基づいて決めます。

3. 熱を導く先と熱を避ける先

基板の銅箔やビアから筐体、シールド、ヒートスプレッダへ熱を移すのか、どの部品を熱源から隔てるのかを明確にします。電池セルだけでなく、ディスプレイ、センサー、接着材など温度に敏感な部品が熱経路の近くにないかも確認します。

銅箔の追加やTIMの配置だけでは条件を満たせない場合、部品配置、熱源間の距離、筐体接触、機構空間、通風などを含めて見直します。基板の熱拡散とセルへの熱結合を、同じ「放熱」としてひとまとめにしないことがポイントです。

4. 電気・機械・組立との両立

銅プレーンやサーマルビアは、回路ネット、GND構成、絶縁距離、信号品質、実装性と両立させます。部品の露出パッドや熱ビアでは、はんだ量やボイドにも影響する場合があるため、部品資料と実装条件を確認します。

TIMは厚みや硬さ、圧縮率、部品高さの公差、筐体の締結荷重、組立順序に影響されます。試作で使用する材料や厚みを変更する場合は、機械設計・組立担当者と確認し、絶縁や部品への応力も評価対象に含めます。

試作では温度と熱経路を実機条件で評価する

試作評価では、発熱部品、基板、筐体、セル近傍など、目的に合った位置の温度を確認します。測定位置、センサー固定方法、周囲温度、電源・負荷条件、充電状態、筐体の組立状態、通風条件を記録し、比較する試作品で条件をそろえます。

サーモグラフィは表面の温度分布を把握するのに役立ちますが、放射率や反射の影響があり、内部の接合温度を直接示すものではありません。必要な測定対象に応じて、熱電対などの接触式測定や部品の温度監視値と併用します。

銅箔・ビアの変更とTIMの変更は、可能な範囲で別々に比較すると、それぞれの寄与を判断しやすくなります。温度だけでなく、充電制御の状態、セル近傍の温度、筐体との接触、電気的・機械的な影響も確認します。

部品データシートに記載された熱抵抗値は、規定された評価基板や測定条件に基づく場合があります。実製品では筐体、電池、基板形状、空気の流れが異なるため、その値だけで製品温度を断定せず、実機構成で評価してください。

まとめ:銅箔かTIMかではなく熱の入口と出口を設計する

銅箔・サーマルビアは基板内で熱を広げる経路、TIMは部品・基板と筐体・放熱部品との界面をつなぐ役割を担います。どちらを使うかを単独で決めるのではなく、発熱源から最終的な放熱先までを一続きの熱経路として設計します。

電池近傍では、発熱部品を冷却することに加え、セルの温度条件と温度検出を別に確認します。部品仕様・セル仕様・機構条件を基に設計を立て、試作では測定位置と動作条件をそろえて評価しましょう。

基板の試作を検討する際は、銅層、基板厚、サーマルビア、基板外形などの製造データと、筐体や電池を含む使用条件を整理しておくと、設計・製造間の確認を進めやすくなります。PCBgogoの基板製造に関する情報は公式サイトでご確認ください。

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