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幾何公差とは?種類・記号・データムの読み方と図面での考え方

11 0 Sep 10.2026, 14:20:47

幾何公差は、部品のサイズだけでは伝えきれない形状や位置の要求を、設計・加工・検査で共有するための図面上のルールです。記号を暗記することが目的ではありません。どの面、穴、軸が部品の機能に関わるかを整理し、必要な要求だけを明確に伝えることが重要です。

重要ポイント幾何公差は、寸法だけでは表せない形状・姿勢・位置・振れの要求を図面で共有するための考え方です。部品の機能に関わる面や穴を見極め、データムと評価対象を対応づけて指定しましょう。

幾何公差とは

幾何公差とは、加工物の幾何学的な仕様を図面で伝えるための表示方式です。JIS B 0021:1998は、形状、姿勢、位置、振れの公差表示に関する基礎事項を規定しており、2023年に確認されている有効な規格です。ISO 1101:2017も、形状・姿勢・位置・振れの幾何公差を対象とする国際規格として現在の版が確認されています。

ここで重要なのは、幾何公差を「寸法公差をより厳しくしたもの」と考えないことです。寸法公差は長さや直径などの大きさの許容範囲を示します。幾何公差は、面の形、穴や軸の向き、基準に対する位置など、部品として機能するための幾何学的な関係を示します。

例えば、穴径が指定範囲に入っていても、相手部品と組み付く位置から外れていれば機能しないことがあります。このような場合に、単一の寸法だけではなく、どの基準に対して何を管理するかを明確にするために幾何公差を用います。

なぜ幾何公差が必要

寸法公差だけでは伝えにくい要求

部品では、個々の寸法だけでなく、複数の面や穴の関係が重要になることがあります。取付面に対して穴がどこにあるか、二つの面がどの方向を向くか、回転する軸がどのように振れるかは、単独の長さや直径だけでは十分に表せません。

図面の読み方が設計者、加工先、検査担当者で異なると、同じ部品でも加工方法や合否の判断が分かれる可能性があります。幾何公差は、この解釈のずれを減らすために、対象形体と要求内容を対応づけます。要求を細かく増やすことではなく、機能に関わる条件を曖昧にしないことが目的です。

また、厳しい公差を多く付ければ品質が上がるとは限りません。機能に関係しない面まで過度に管理すると、加工や検査の負担が増え、見積もり条件も複雑になります。まず部品がどのように位置決め、固定、摺動、回転するかを確認し、必要な要求を選びます。

幾何公差の主な種類

幾何公差は、管理したい対象によって大きく整理できます。次の表は、図面を読むための概略です。個別の記号や適用条件は、図面に指定された規格と要求内容に従って確認してください。

分類主に管理すること代表的な項目データムとの関係
形状公差一つの形体そのものの形平面度、真直度、円筒度対象形体自身をみるため、原則としてデータムを前提にしない
姿勢公差基準に対する向きや角度の関係平行度、直角度、傾斜度どのデータムに対する姿勢かを確認する
位置公差基準に対する穴・軸などの位置関係位置度、同軸度、対称度対象形体、データム、理論位置を合わせて読む
振れ公差回転時の変化円周振れ、全振れ回転の基準となる軸との関係を確認する

この分類は、記号を選ぶための早見表ではありません。例えば平面度は一つの面そのものを管理しますが、平行度は基準との関係を管理します。似た名称や似た見た目の要求でも、部品機能と評価対象が異なれば、同じ要求として置き換えることはできません。

図面の記号・公差記入枠・データムの読み方

幾何公差を含む図面では、最初にどの形体が対象かを確認します。穴なら中心軸なのか、穴を持つ面なのか、複数の穴のパターンなのかで、読むべき要求が変わります。次に、記号が表す幾何特性と要求値を確認します。

公差記入枠は、管理する特性、要求値、必要に応じて追加される条件やデータム参照をまとめて伝える情報です。枠内の数字だけを抜き出しても、正しい意味にはなりません。対象形体、図面上の指示線、データムと合わせて読んで初めて、どのような状態を評価するかが決まります。

データムは、関連する形体の位置や姿勢を解釈するための基準です。単なる識別用の文字ではなく、部品が実際に取り付けられる面、位置決めに使う穴、回転の基準となる軸など、機能上の基準と対応させる必要があります。JIS B 0021やISO 1101が扱う幾何公差の表示も、こうした対象と基準の関係を曖昧にしないための共通言語です。

代表的な幾何公差は何を管理するか

平面度は、一つの面そのものの平らさを管理する形状公差です。取付面や接触面のように、面全体の状態が機能に関わる場合に検討されます。一方で、表面の微細な状態を示す表面粗さとは管理対象が異なります。

平行度と直角度は、データムに対する姿勢を管理します。対象が面の場合も軸の場合も、どのデータムに対して関係をみるかが前提になります。平行度の評価方法を確認したい場合は、平行度の測定方法で測定の考え方を参照してください。

位置度は、穴や軸などの形体が、データムに対して定められた位置関係を満たしているかを管理します。寸法公差とは異なり、対象形体、データム、理論上の位置をまとめて理解する必要があります。位置度の図面理解や理論的に正確な寸法は、独立記事で詳しく扱う予定です。

振れ公差は、回転に関係する形体の変化を管理します。円周振れと全振れでは評価する範囲が異なるため、回転部品だからという理由だけで一律に指定することはできません。相手部品との関係、回転機能、検査方法を踏まえて判断します。

CNC部品の図面で幾何公差を指定するときの考え方

幾何公差を指定する前に、部品のどの形体が機能を担うかを確認します。例えば、組付けの基準となる面、位置決めに使う穴、相手部品と摺動する軸では、必要な管理の種類が異なることがあります。要求を決める順序は、記号から入るのではなく、機能から対象形体とデータムを決めることです。

  • 組付け、位置決め、摺動、回転に関わる面・穴・軸を特定する

  • その機能を評価するときのデータムを、実際の組付け基準と対応させる

  • 単一形体の形を管理するのか、基準との姿勢・位置を管理するのかを分ける

  • 寸法、公差、表面処理、材料、数量、検査条件に矛盾がないか確認する

  • 機能上の根拠がない箇所まで過度な要求を重ねていないか見直す

幾何公差を含む部品図面では、加工方法だけでなく、要求の読み違いを防ぐための事前確認が重要です。材料、数量、表面処理、希望納期とともに、機能に関わる形体とデータムを整理しておくと、PCBgogoへの相談や見積もり条件の確認を進めやすくなります。切削による部品製作の基本は、切削加工とはで解説しています。

まとめ

幾何公差は、サイズだけでは表せない形状、姿勢、位置、振れの要求を共有する図面言語です。図面では、記号や要求値を単独で見るのではなく、対象形体、データム、部品の機能を対応づけて確認します。必要な要求を機能から選び、加工・検査条件とあわせて伝えることで、設計意図をより明確に共有できます。

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