基板のシルクとパッドがアートワークで重なると何が起きる?原因・確認方法・防止策
基板アートワークでは、部品番号、極性マーク、1番ピン、部品外形を見やすく配置したつもりでも、シルク層がパッドや実装領域へ重なることがあります。重なったシルクは、製造データの処理で一部が裁切されたり、文字や記号が欠けたりすることがあります。これは単なる見た目の問題ではなく、極性や方向を読み違え、実装・検査で誤判定する原因になり得ます。
重要ポイントシルクとパッドの重なりは、必ずしもパッドの電気的な不良を意味するわけではありません。ただし、製造時にシルクが裁切されると、部品番号・極性・1番ピンの表示が不完全になり、組立や外観検査の判断を誤らせるおそれがあります。
シルクとパッドの重なりはなぜ起きるのか
重なりは、部品配置の変更後にシルク位置を更新していない場合、フットプリントを置き換えた後に外形線や文字を見直していない場合、パッド形状を変更した場合などに起きやすくなります。小型部品の周辺では表示スペースが限られるため、部品番号や外形線がパッド近くへ押し込まれることもあります。
また、CADライブラリや外部データの取り込みでは、シルク層、パッド、ソルダーマスク、組立用外形線の定義が想定と異なることがあります。設計画面では読めるように見えても、出力したガーバーで各層を重ねると、記号がパッドへ入っていることがあります。そのため、配置変更、フットプリント変更、板外形変更の後には、対象箇所を再確認する必要があります。
重なったシルクは製造・実装でどう処理されるか
パッドやはんだ付けに関わる領域へシルクが重なる場合、製造データの処理で重なった部分が削除・裁切されることがあります。その結果、文字の一部が欠ける、極性マークが途切れる、外形線が不自然に切れるといった状態になる可能性があります。シルクの処理方法は製造条件やデータの状態によって異なるため、重なりがあっても完成後に同じ見え方になるとは限りません。
ここで区別したいのは、シルクが裁切されることと、パッドが必ず電気的に不良になることは別だという点です。主な問題は、部品を実装する人や検査する人が、必要な表示を読めなくなることです。特に極性部品、IC、コネクタ周辺の表示欠けは、方向確認やリワーク時の識別を難しくします。

シルクとパッドの重なりで起きる3つの問題
| 問題 | 起きること | 実装・検査への影響 |
|---|---|---|
| 表示の欠け | 部品番号、極性、1番ピン、外形線の一部が読めない | 部品の向きや位置を誤認しやすい |
| 設計と実物の不一致 | CAD上の表示と製造後の表示が異なる | 検査基準や組立資料との照合が難しくなる |
| 再確認・修正の増加 | データ確認、問い合わせ、改版が必要になる | 試作・実装開始が遅れる可能性がある |
アートワーク・CAD上で確認するポイント
まず、シルク層、パッドを含む導体層、ソルダーマスク層を個別に表示し、その後に重ねて確認します。部品番号、極性、1番ピン、外形線が、どの領域へ入っているかを確認してください。部品面と反対面の表示、ミラー状態、組立図の方向も合わせて確認します。
特に確認したいのは、フットプリントを変更した箇所、部品を移動した箇所、パッドを大きくした箇所、コネクタや小型部品の周辺です。重要な表示がパッドへ近づいた場合は、文字の位置を移動し、略号へ変え、極性や1番ピンは図形記号として残せるかを検討します。基板シルクの基本ルールは、基板のシルクスクリーンとはでも確認できます。
ガーバービューアで重なりを見つける手順
Top/Bottomのシルク層、導体層、ソルダーマスク層を読み込みます。
パッド周辺の文字、極性記号、1番ピン、部品外形線を拡大します。
シルクとパッド・マスク開口が重なっていないかを確認します。
組立図、部品データ、実装方向と照合し、製造データ上でも必要な記号が読めるかを確認します。
修正後は関連層を再出力し、同じ箇所をもう一度確認します。
ガーバービューアでは、単一層だけではなく、複数層を重ねて見ることが重要です。CADでは目立たなかった重なりも、出力データでパッド、マスク開口、シルクを同時に表示すると見つけやすくなります。ガーバーデータの確認手順は、「ガーバーデータとは」も参考になります。
シルクとパッドの重なりを防ぐ設計方法
防止の基本は、パッドと部品外形を確定してから、シルクの文字・線・記号を配置することです。重要な極性や1番ピンは、パッド外の読みやすい位置へ置き、狭い部品周辺では部品番号より方向記号を優先します。表示スペースが足りない場合は、文字を無理に詰め込むのではなく、略号の利用や別の位置への配置を検討します。
設計ルールまたはDFMチェックには、シルクとパッド・マスク開口の重なり確認を含めます。さらに、部品配置、フットプリント、板外形を変更した後には、影響したシルク層を再確認します。こうした確認を改版の完了条件にすることで、表示の問題を製造後ではなくアートワーク段階で見つけやすくなります。
設計レビュー用チェックリスト
シルク文字・線・記号がパッドまたはマスク開口へ入っていないか
部品番号が部品本体、コネクタ、板外形で隠れないか
極性・1番ピン・実装方向の記号が明確で、組立図と一致するか
ガーバーで重ねた表示がCADおよび組立資料と一致するか
フットプリント、部品配置、パッド、板外形の変更後に再確認したか
修正後の関連層をすべて再出力し、同じ改版として管理しているか
PCBgogoへ製造データを提出する前には、シルク層とパッド・ソルダーマスク層を重ねて確認し、極性・1番ピン・コネクタ表示が製造データ上でも読めることを確かめてください。確認結果を設計レビューに残すことで、次の改版でも同じ重なりを防ぎやすくなります。
まとめ
シルクとパッドの重なりは、パッドの電気的な不良そのものではなくても、表示の裁切、極性・1番ピンの欠け、組立・検査の誤認につながります。アートワークとガーバーで各層を重ね、変更箇所を再確認し、必要な表示をパッド外へ残すことが基本です。設計データと組立資料の整合まで確認してから製造へ進めることで、実装前に防げる問題を減らせます。
よくある質問
シルクがパッドに重なると、はんだ付け不良になりますか?
必ずしもそうではありません。主なリスクは、重なった部分のシルクが裁切され、部品番号、極性、1番ピンなどが読みにくくなることです。ただし、実際の処理や影響はデータと製造条件により異なるため、製造前に確認します。
シルクの一部が欠けても、そのまま製造してよいですか?
欠けた部分が極性、1番ピン、方向などの組立判断に関係する場合は、そのまま進める前に修正または代替表示を検討します。部品番号だけでなく、組立・検査で必要な情報が残るかで判断してください。
CADで問題が見えないのにガーバーで重なりが出るのはなぜですか?
出力時の層設定、フットプリント定義、パッドやマスク開口の形状、表示の重ね方が原因になることがあります。シルク層だけでなく、導体層とマスク層を重ねて確認してください。