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高速基板の低損失銅張積層板選定|Dk・Df・Tgの確認ポイント

22 0 Oct 07.2026, 11:26:30

重要ポイント低損失CCLは、Dk・Dfの数値だけで決めず、測定方法・周波数・材料構成と、実際の信号経路や製造条件を合わせて評価することが重要です。Tgも最高使用温度ではなく、Td・T288・CTEや実装熱履歴とあわせて確認します。

高速基板向けの低損失銅張積層板(CCL)を選ぶ際は、材料名や「低損失」という表示だけでは判断が足りません。Dk、Df、Tgはそれぞれ異なる材料特性を示し、データシートの値も測定方法や周波数、試料構成によって変わることがあります。

CCLは、絶縁基材に銅箔を張り合わせた銅張積層板です。多層基板では銅箔付きのコア材やプリプレグなどを組み合わせるため、単一材料のデータシート値を完成した積層構成全体の特性と同一視しないようにします。

まず信号の周波数範囲、立ち上がり時間、配線長、損失予算を整理し、その条件に合う材料候補を比較します。この記事では、Dk・Df・Tgの読み分けから、積層・銅箔・製造条件の確認、試作での評価までを順に解説します。

高速基板の材料選定は損失予算から始める

ビットレートは材料を検討する手がかりですが、それだけで必要なCCLを決めることはできません。信号の立ち上がり時間や周波数成分、配線長、伝送線路の構造、コネクタやビアを含む経路全体を確認し、システムやインターフェースの要求から許容損失を定めます。

そのうえで、損失のうち誘電体に由来する成分を材料特性から見積もります。導体損失、銅箔表面の粗さ、配線形状、接続部なども完成基板の伝送特性に関わるため、低いDfの材料に置き換えるだけで要求を満たすとは限りません。

設計の初期段階では、材料候補を絞る前に、対象信号、周波数範囲、配線長、層構成、目標インピーダンスと評価方法を一覧にしておくと、データシートやシミュレーション条件を揃えやすくなります。

Dk・Df・Tgは示す特性が異なる

  • Dk(比誘電率)は、絶縁材料の電気的な誘電特性を示します。伝搬速度や特性インピーダンスの設計に関係しますが、設計に使う値は測定方法や材料構成を踏まえて選ぶ必要があります。

  • Df(誘電正接、損失正接)は、誘電体内部で電気エネルギーが熱などに変わる損失に関係する指標です。Dfは誘電体損失を考える材料指標の一つであり、基板全体の挿入損失そのものではありません。

  • Tg(ガラス転移温度)は、樹脂がガラス状からより柔らかい状態へ移る温度領域を評価する指標です。最高連続使用温度や、単独で実装熱履歴への適合性を示す値ではありません。

IPCの試験方法一覧には、Dk・Dfの測定方法に加え、Tgや熱膨張、分解温度などを評価する別の試験方法が掲載されています。数値を並べて比較するときは、指標名だけでなく、どの方法で測定した値なのかを確認しましょう。

低損失CCLのDk・Dfと測定条件から積層、配線、銅箔、評価クーポンを経て完成基板の伝送損失を確認する流れ図

データシートではDk・Dfの測定条件を揃える

同じ材料でも、試験方法や周波数、試料の構成・状態が異なると、掲載値を単純に横並びにできない場合があります。IPCには複数の誘電特性試験方法があり、高周波材料の測定方法を比較した技術資料でも、測定条件による差が報告されています。

候補材料のデータシートでは、少なくとも次の項目を確認します。

  • 測定方法と測定周波数

  • Dkの定義・抽出方法(データシートに記載がある場合)

  • 試料の厚さ、樹脂含有率、ガラス布などの材料構成

  • 前処理や測定時の温湿度などの条件

  • 値が代表値か、規格値・保証値か

  • データシートの発行日・改訂番号

比較表を作る場合は、条件が一致しない値を一つの順位表にまとめず、測定方法・周波数ごとに分けて記録します。条件が不明な項目は、材料の優劣を決める前に供給元へ確認する欄として残します。

また、材料データシートのDk・Dfと、完成した基板上の伝送損失は別の情報です。IPCの試験方法にも、材料の誘電特性を測る方法と、プリント基板上の信号損失を測る方法がそれぞれあります。材料値を設計の入力として使い、実際の配線構造や評価用クーポンで結果を確かめる流れが必要です。

Tg以外の熱特性と製造条件も確認する

Tgだけを見て耐熱性を判断せず、用途や製造工程に応じてTd(熱分解温度)、T288(288℃での層間剥離までの時間)、CTE(熱膨張係数)なども確認します。これらは異なる現象や試験条件を評価する値であり、相互に置き換えられる指標ではありません。

特に多層化や複数回の積層、部品実装時の加熱を想定する場合は、材料データシートの試験条件と、実際のプレス・穴あけ・リフローなどの工程条件を照らし合わせます。数値だけで適合を断定せず、材料構成、基板厚、層数、工程履歴を含めて確認してください。

同じ材料名でも、銅箔の種類や樹脂含有率、ガラス布の構成によって特性が異なることがあります。採用候補を比較する際は、製品名だけでなく、対象グレードとデータシートの改訂を特定しておくことが大切です。

Dk・Df以外にも完成基板の損失を左右する要因がある

完成基板の高速伝送特性は、誘電体だけで決まりません。材料・積層、銅箔、配線形状、加工、接続部、測定方法を一続きの経路として確認します。

  • 材料・積層:樹脂やガラス布の構成、誘電体厚さ、層構成

  • 銅箔:表面粗さや処理面の条件

  • 配線:線幅、銅厚、基準面、インピーダンス公差

  • 接続:ビア、コネクタ、パッドや遷移部

  • 評価:クーポン構造、測定器、校正・デエンベディング条件

ガラス布と樹脂の配置による局所的な誘電特性の違いが問題になる設計では、信号線の位置や配線方向も検討対象になります。どの要因が支配的かは周波数や構造によって変わるため、材料選定とレイアウト、評価方法を切り離さないようにします。

低損失CCL候補を同じ条件で初期選定する

材料候補を初期選定するときは、要求、データシート値、基板構成、製造条件、検証結果を一つの表にまとめます。条件が未確定の欄を残しておけば、後から材料値だけで結論を出すリスクを減らせます。

確認領域記録・確認する内容未確定時の対応
信号要求信号種別、周波数範囲、立ち上がり時間、配線長、損失予算システム・回路側で条件を定義する
Dk・Df数値、測定方法、周波数、試料構成、前処理、代表値/保証値同条件のデータを確認し、異なる条件は分けて扱う
熱・信頼性Tg、Td、T288、CTEと各測定方法・条件製造・実装熱履歴に対する適合性を確認する
基板構成層数、誘電体厚さ、銅箔、ガラス布・樹脂構成、線路構造スタックアップと設計条件を揃えて比較する
製造・検証材料の積層適合性、加工条件、評価クーポン、損失・インピーダンス測定供給元・製造先と確認し、試作結果で判断する

候補を絞った後は、シミュレーションや設計レビューで条件を確認し、必要に応じてインピーダンスや伝送損失を評価できるクーポンを設けます。試作では材料だけでなく、スタックアップ、銅箔、線幅、加工条件、測定系を記録し、次の設計に活用できる比較結果を残します。

低損失材料の採用は、コスト、調達性、積層互換性、加工ウィンドウ、設計変更リスクとも合わせて判断します。必要な性能を満たす材料を選び、システム要求と製造・評価条件を共有することが、過剰な材料選定を避けるうえでも有効です。

まとめ:材料の数値を基板上の検証につなげる

低損失CCLの選定では、まず信号条件と損失予算を定め、Dk・Dfを測定方法や周波数と一緒に比較します。Tgは最高使用温度ではないため、Td・T288・CTEや実際の製造・実装条件もあわせて確認します。

さらに、銅箔粗さ、ガラス布・樹脂構成、積層、配線形状、ビアやコネクタ、評価方法まで含めて完成基板の伝送経路を見ます。材料データシートの値だけで完成基板の損失を断定せず、条件を揃えたシミュレーションや試作評価で選定を詰めましょう。

基板の試作・製造を検討する際は、材料候補だけでなく、層構成、誘電体厚さ、銅箔条件、インピーダンス要件、評価クーポンの情報を整理しておくと、設計条件の共有に役立ちます。PCBgogoの基板製造に関する情報は公式サイトでご確認ください。

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