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工業用高信頼性HDIのDFM設計最適化ガイド
73 0 Nov 25.2025, 14:02:20

1. はじめに

PLC、インバータ、サーボコントローラなどの工業用制御機器は、高密度配線板(HDI)に対して「高信頼-高安定性」を強く要求します。動作環境は20℃から85℃の広温度範囲で、連続運転期間は10年以上が一般的です。
しかし業界データによると、量産HDIの不良率が70%未満に低下する原因の約60%がDFM(Design for Manufacturability)上の欠陥に起因しています。実際、あるインバータメーカーでは、HDIビア配置の不適切さや線幅線間の不足により量産良率が65%まで低下し、製造コストが40%増加した事例があります。


工業用HDIではIEC 61010-1(工業電気機器の安全規格)とIPC-2226のDFM条項に適合することが必須であり、設計段階で製造性と信頼性の両立を図る必要があります。PCBGOGOはこれまでに300社以上の工業機器メーカーへHDIを提供し、累計200万枚以上を製造してきました。本稿では、工業用途におけるHDI DFMの要点、よくある設計不具合、最適化手法を体系的に解説します。

2. 技術概要

工業用高信頼HDIにおけるDFM設計の核心は「設計と製造プロセスの適合性確保」です。IPC-2226第8章の要件に基づき、特に以下3つの領域での設計不良を避けることが重要となります。

1. ビア(盲孔/埋孔/スルーホール)設計不良

工業用途のHDIでは、ビア間距離は0.3mm以上が推奨されます。0.2mm未満の場合、穴位置ズレや孔壁損傷が発生しやすくなります。PCBGOGOの実測では、ビア間距離0.15mmではドリル不良率が25%に達しました。

2. 線幅線間の設計最適化

線幅は最低0.1mm、線間も0.1mm以上(銅厚1oz時)が基準です。線幅が0.08mm未満の場合、エッチング工程で断線が発生しやすく、線間0.08mm未満ではブリッジのリスクが増加します。これらはIPC-6012H Class 3の基準に準拠します。

3. 部品配置の問題

大電力部品(抵抗、コンデンサなど)はブラインドビア-埋込みビア領域から2mm以上離す必要があります。はんだ付け時の熱応力によりビアクラックが発生するためです。ICのピンとビア間も0.5mm以上確保することが推奨されます。

なお、工業用HDIには、Tg165℃、Dk4.3±0.2で知られる生益電子のS1130材料が一般的に使用され、エッチングやプレスなど量産プロセスとの適合性に優れます。DFM設計ではPCBGOGOの製造パラメータ(ドリル精度±0.01mm、エッチング精度±0.005mm)を前提に設計値を設定することが重要です。

3. 実践的な最適化ソリューション

3.1 工業用HDIにおけるDFM設計5つの要点

● ビア配置の最適化

ビアの最小径は0.15mm以上、間隔は0.3mm以上、基板端から1mm以上の距離を確保します。PCBGOGOのDFM審査システム「JPE-DFM-HDI 7.0」を使用すると、ビア間距離の違反箇所を自動検出でき、IPC-2226第8.3条に沿った設計が可能です。

● 線幅線間設定

信号線は0.1mm以上、1A以上が流れる電源ラインは0.3mm以上を確保します。線間は0.1mm以上とし、エッチング後の線幅偏差は±0.005mm以内に抑えることが推奨されます。

● 部品配置ルール

1W以上の大電力部品はビア領域から2mm以上離し、ICピンとビアの距離も0.5mm以上とします。Altium DesignerのDFMチェック(PCBGOGO工法パラメータ連携)で自動検証が可能です。

● 接地設計の最適化

専用GND層を設け層面積は25%以上とし、GNDラインは2mm以上、GNDビアの間隔は10mm以下に設定します。接地インピーダンスは0.1Ω以下を目標とし、JPE-Mohm-300で測定します。

● 基板端部と放熱設計

工業用HDIでは基板端に0.5mm以上の工業用余白を確保し、高電力基板では10%以上の放熱銅箔を配置します。銅箔の密着強度は1.2N/mm以上(IPC-TM-650 2.4.18)を満たす必要があります。

3.2 DFM検証および是正プロセス

● 設計事前審査

HDI設計完了後、「JPE-DFM-HDI 7.0」へデータをアップロードすると、ビア配置、線幅線間などの違反項目を自動識別し、是正レポートが生成されます。是正完了率は100%を基準とします。

● 工法適合性の検証

高密度エリア(微細ピッチIC付近など)は50枚の試作基板を用いてエッチング精度およびはんだ付け良率を評価します。エッチング後の線幅偏差±0.005mm以内、はんだ不良率1%以下が通過基準です。

● 信頼性評価

試作基板はPCBGOGOラボで幅温度サイクル(20℃から85℃、500サイクル)と振動試験(10から2000Hz、加速度5g)を実施し、断線やビア剥離がないことを確認します。IEC 61010-1に適合すれば量産に進むことができます。

まとめ

工業用高信頼HDIのDFM設計では、IEC 61010-1およびIPC-2226を基準とし、製造プロセスとの高い適合性と信頼性の冗長性確保が鍵となります。特にビア配置、線幅線間、部品配置といった設計初期の不具合を防ぐことで、量産良率を大幅に向上できます。
PCBGOGOでは、工業用HDIに特化したDFM事前審査、試作検証、広温度域信頼性試験まで一貫サポートし、量産性と長期安定性を両立した基板製造をご提供しています。


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