
近年、電子機器の高密度 - 高性能化に伴い、BGAパッケージはプロセッサ、GPU、高ピン数ICなどに広く採用されています。しかし、BGAのはんだ接合部はパッケージの下部に隠れているため、目視では確認できず、不良接合が電子回路全体の安定性に影響を与える可能性があります。
よく見られるBGAのはんだ不良とそのリスク:
1.オープン(接続不良)
PCBパッドとはんだボールが適切に接続されない場合、信号の中断やデータ損失などの問題が発生します。原因としては、はんだペーストの印刷不足、部品のズレ、加熱ムラなどが挙げられます。
2.ブリッジ(ショート)
隣接するはんだボール間に余剰のはんだが接続してしまうことで短絡が発生します。これはステンシル設計不良やペースト過剰、チップ配置のズレに起因し、回路の焼損リスクが高まる危険な欠陥です。
3.ボイド(空洞)
はんだ内部に空気やガスが残ることで形成される空洞です。熱伝導性の低下、接合強度の劣化を招き、特に高発熱部品では重大な信頼性問題に繋がります。IPC基準では、空洞面積が25%を超えると不良と見なされることがあります。
4.HIP(ヘッド - イン - ピロー/枕型欠陥)
リフロー時にはんだペーストとボールが完全に融合せず、表面だけ接触した状態で形成される弱接合です。PCBや部品の反りが原因で発生しやすく、断続的な接触不良を引き起こします。発見が難しいため厄介な欠陥のひとつです。
X線検査の仕組みと特長
BGAのように接合部が視認できないパッケージでは、X線検査が不可欠です。これは非破壊で内部構造を透視でき、はんだ接合の品質を定量的に評価できる高度な技術です。
2D X線(平面透視)
上方からのX線投影により、短絡 - オープン - 大きなボイドなどを迅速にスキャンできます。量産時の抜き取り検査に適しており、はんだ間の異常陰影などを捉えるのに有効です。ただし、高さ方向の欠陥(例:HIP)を検出するのは困難です。
3D CT X線(コンピューター断層撮影)
複数角度から撮影した画像をコンピューターで再構成し、三次元的に接合内部を可視化します。HIPや微細なボイドの特定に非常に有効で、航空宇宙 - 医療 - 車載分野など信頼性重視の分野で欠かせない技術です。
欠陥検出の実例と解析
1.オープン欠陥:2D画像では、パッドとはんだ球の間に明確なギャップが見られることがあります。
2.ショート - ブリッジ:隣接するボール間に不自然な連結が写ることで特定できます。高解像度X線なら50μm以下の微細なブリッジも検出可能です。
3.ボイド(Voiding):白く明るい点として内部の空洞が表示され、自動解析ソフトで面積比率による合否判断が可能です。
4.HIP欠陥:3D CTでしか確認できない垂直方向の接触不良で、断面画像にて融合不足部分が明確になります。
X線検査の導入メリット:
1.非破壊で高信頼の評価を実現
部品やPCBを壊さずに内部のはんだ品質を検証でき、プロトタイプ検証 - 量産前評価 - 不良解析に最適です。
2.プロセス改善に貢献
リフロー温度やステンシル設計の不備による欠陥を特定し、製造工程の最適化と不良率削減につながります。
3.高信頼性製品の品質保証
軍事 - 医療 - 航空宇宙分野など、極限環境でも機能する製品開発においては不可欠な検査手法です。
4.X線検査の課題と対応策
コスト:高性能機器は導入 - 維持費が高く、全数検査には不向きです。
操作性:検査画像の解釈には熟練技術者が必要で、自動検出のアルゴリズム精度も限界があります。
安全性:放射線機器のため遮蔽 - 保護環境が必須です。
品質を守るための活用戦略
欠陥の判定基準を明確にし、オープン - ボイド - HIPの定量的な評価を可能にします。
標準的なBGA接合のX線画像を保存し、基準画像と比較して迅速に判断できるようにします。
ICT(インサーキットテスト)や熱画像検査と併用することで、検出精度を高めます。
欠陥事例を蓄積したデータベースを構築し、品質管理や設計改善に活用します。
BGA品質を支えるX線技術
BGAパッケージは小型化と高機能化を支える重要技術ですが、内部にはんだ不良が潜むと製品性能を著しく損なうリスクがあります。X線検査はそのような見えない欠陥を検出し、ゼロ不良 - ゼロリターンを目指す製造現場にとって不可欠な品質保証の柱です。
PCBGOGOでは、BGA実装に対応した高度な検査体制を整備し、設計 - 製造 - 検査までの一貫した品質管理で、お客様の高信頼製品づくりを支援しています。