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製造プロセス最適化:PCBハンダブリッジを解消するための実践的アプローチ
12 0 Sep 26.2025, 11:26:55

PCB製造において、設計段階でのルール遵守が前提であっても、製造プロセスの精密な管理がなければ、ハンダブリッジは依然として発生します。統計によると、約35%のハンダブリッジはプロセスパラメータの偏差に起因しており、シルク印刷、実装、リフロー/波形はんだ付けを最適化することで、ブリッジ率を10%から1%以下に低減することが可能です。本稿では、シルク印刷-実装-リフロー/波形はんだ付けの三大工程に焦点を当て、具体的なパラメータ調整や事例を交えながら、PCBハンダブリッジを効果的に抑制する工法を解説します。

一、シルク印刷工程の最適化:はんだペーストの「量と形」を精密制御

シルク印刷は、はんだペーストを適量-均一に供給する核心工程です。最適化の目標は「適正な量、完全な形状、溢れなし」であり、特にステンシル開口設計、印刷条件、清掃頻度が重要となります。

  • ステンシル開口の最適化
    パッド寸法と部品タイプに応じた開口設計が必要です。例えば、0402サイズのパッド(0.3×0.2mm)では開口を0.28×0.19mmとし、厚さ0.10mmのステンシルを採用することで、ブリッジ率を10%から1%に低減できます。QFPでは幅90?95%、長さ90?95%に抑えることが推奨され、BGAでは直径85?90%が適切です。

  • 印刷条件の最適化
    標準的な印刷圧は10?20N/cm2で、過大(25N/cm2)でははんだが隣接パッドに流れ込み、過小(8N/cm2)では不完全印刷が発生します。印刷速度は20?40mm/sが推奨され、粘度が高い場合は低速、粘度が低い場合は高速が適します。刮刀角度は45?60°が標準で、角度の偏差ははんだ量に直結します。

  • ステンシル清掃の最適化
    残留はんだによる過量印刷を防ぐため、通常は10?20枚ごとに清掃を行います。高粘度ペーストでは10枚ごと、低粘度では20枚ごとが目安です。さらに50枚ごとに超音波洗浄を行うことで、開口内部の残渣を完全に除去できます。

二、実装工程の最適化:高精度位置決めと圧力制御

実装機の位置精度や圧力が不適切な場合、部品のズレやペーストの押し出しによってハンダブリッジが発生します。

  • 位置精度の校正
    実装機は±0.01mmの精度を維持する必要があります。カメラのビジョンシステムや吸着ノズルを週1回校正することで、部品偏移を0.005mm以下に抑えることが可能です。

  • 実装圧力の調整
    部品サイズごとに最適圧力を設定することが重要です。0402は5?8N/cm2、0603は8?12N/cm2、QFP(0.5mmピッチ)は15?20N/cm2、BGA(1.0mmピッチ)は20?25N/cm2が基準です。過大圧力ではペーストが溢れ、ブリッジ率が大幅に上昇します。

三、リフロー/波形はんだ付け工程の最適化:溶融と流動の制御

1. リフローはんだ付け(SMT)

リフロー曲線は予熱-均熱-ピーク-冷却の4段階で制御します。

  • 予熱は80?150℃で1?2℃/s、60?90秒間維持します

  • 均熱は150?180℃で60?120秒です

  • ピーク温度は250?260℃、30?60秒維持が適切です。過熱(270℃以上)は流動過多によるブリッジ、低温(240℃以下)は未融解による不良を招きます。

  • 冷却は2?3℃/sで素早く凝固させることが重要です。

2. 波形はんだ付け(THT)

無鉛はんだの場合、適正条件は以下の通りです。

  • 錫温:250?255℃(260℃以上は流動過多、245℃以下は濡れ不良)。

  • 搬送速度:1?1.5m/min(過慢で堆積、過速で不十分溶融)。

  • 波高さ:基板厚の1/2?2/3。過剰な高さは表面側に溢れ、ブリッジを発生させます。

まとめ

PCBハンダブリッジの解消には、プロセスごとの精密パラメータ制御が欠かせません。シルク印刷ではステンシル設計と印刷条件、実装では高精度位置決めと適正圧力、リフロー/波形はんだ付けでは温度曲線と流動制御が鍵となります。さらに全工程を通じたモニタリングを組み合わせることで、ブリッジ発生率を1%以下に抑え、高い歩留まりと製品信頼性を両立することが可能です。


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