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SMT実装加工における支給材方式とターンキー方式の比較と選び方

0 0 Dec 26.2025, 09:55:15

電子機器製造業界において、SMT実装の外注加工は一般的な生産形態です。SMT実装を委託する際、部品の供給方法として主に2つの選択肢があります。1つは実装メーカーが部品を調達する「ターンキー方式(代料)」、もう1つは発注側が部品を支給する「支給材方式(自供料)」です。それぞれにメリットとデメリットがあり、どちらがコスト面で有利かは、製造コスト、品質管理、リードタイム、生産規模など複数の要素によって異なります。

ターンキー方式(代料)のメリットとコスト面の特長

1. 調達プロセスの簡素化

ターンキー方式では、実装メーカーがすべての電子部品を調達します。発注側は BOM リストと設計データを提供するだけでよく、部品選定や発注、納期管理といった煩雑な作業を大幅に削減できます。

実装メーカーは安定したサプライチェーンと豊富な調達経験を有しており、短期間で信頼性の高い部品を確保できる点も大きな利点です。

2. 管理コストの削減

部品調達や在庫管理に関わる人員や工数が不要になるため、社内の管理コストを抑えることができます。また、実装メーカーによる代替部品提案や BOM 最適化のサポートを受けられる場合もあり、生産効率の向上につながります。

3. ボリュームディスカウントの活用

実装メーカーは長期的に部品サプライヤーと取引しており、調達数量も大きいため、量産効果による価格優遇を受けやすいという特長があります。このコストメリットが製造単価に反映されることで、全体コストを抑えられるケースも少なくありません。

4. 調達ミスや品質トラブルの低減

部品調達の責任を実装メーカーが担うことで、部品不一致や品質不良による生産遅延、実装不良のリスクを低減できます。特に量産案件では、安定供給と品質確保の面で有利です。

支給材方式(自供料)のメリットとコスト面の特長

1. 部品品質と仕様の完全管理

支給材方式では、発注側が自ら部品を調達するため、部品の品質、メーカー、ロット、仕様を厳密に管理できます。高性能部品や特殊仕様部品、指定メーカー必須の案件では、大きなメリットとなります。

2. 代行調達マージンの回避

ターンキー方式では、部品調達に一定の管理費や利益が上乗せされることがあります。支給材方式を選択することで、これらの追加コストを回避できます。特に価格変動の大きい部品については、柔軟な調達戦略によりコスト上昇リスクを抑えられます。

3. サプライチェーン運用の柔軟性

自社の生産計画や在庫方針に応じて、部品の購入時期や数量を柔軟に調整できる点も支給材方式の利点です。資金繰りの最適化や在庫過多の防止に貢献します。

どちらの方式がより適しているのか

1. コスト面での比較

ターンキー方式は、管理費が発生するものの、量産効果による部品コスト削減と社内管理コストの低減により、トータルコストで有利になるケースが多く見られます。

一方、支給材方式は、自社で高品質かつ競争力のある価格で部品を確保でき、複雑な部品管理が可能な場合において、コスト面で優位性を発揮します。特に高価な部品や厳格な仕様が求められる製品に適しています。

2. 生産規模と製品の複雑性

大量生産や標準化された製品では、ターンキー方式が管理効率とコストの両面で適しています。

少量生産やカスタム設計が多い製品では、支給材方式の方が部品仕様を細かく管理でき、実装トラブルの回避につながる場合があります。

3. 品質とリスク管理

ターンキー方式は、調達と品質管理の負担を軽減し、全体の管理リスクを下げる効果があります。

支給材方式は、品質要求が非常に高い製品や、高信頼性が求められる用途において、部品品質を完全にコントロールできる点が強みです。

まとめ

SMT実装加工における部品供給方式の選定は、コスト、品質、生産規模、そしてサプライチェーン管理能力を総合的に考慮する必要があります。工程を簡素化し、調達や管理コストを抑えたい企業にはターンキー方式が適しており、部品品質を厳密に管理できる体制を持つ企業には支給材方式が有効です。

PCBGOGO では、ターンキー実装から支給材による SMT 実装まで、柔軟な対応が可能です。高精度な製造品質と最適なコストバランスで、お客様のプロジェクト要件と予算に最適な実装ソリューションを提供します。


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