営業部:営業時間 日本時間 10:00~19:00(土日祝日定休)
****

両面基板SMTはなぜ片面基板よりはんだ信頼性が高いのか

7 0 Dec 15.2025, 10:29:28

4つの重要ポイントで徹底解説

基板製造に携わる方であれば、はんだ付けの信頼性が製品寿命を左右することは周知の事実です。片面基板SMTは実装面が片側のみのため、はんだ不良、はんだ剥離、放熱不足といった問題が発生しやすく、特に産業機器や車載電子のように高信頼性が求められる分野では採用が難しいケースも少なくありません。

一方、両面基板SMTははんだ信頼性に優れ、実際に採用した顧客からは、不良率が3%から5%から1%未満へ大幅に低減したという声も多く寄せられています。本記事では、実運用で検証された両面基板SMTのはんだ信頼性が高い4つの理由を、技術的観点から解説します。

1.放熱性が高く、はんだの熱劣化が起こりにくい

はんだ付け工程における高温は、接合信頼性に最も大きな影響を与える要因です。片面基板は銅層が一方向にしか存在しないため、熱がこもりやすく、局所的な過熱によって、はんだの濡れ不足や部品ダメージが発生しやすくなります。

両面基板では、表裏の銅層が放熱経路として機能し、熱を均一に拡散できます。リフローはんだ付け時のピーク温度は約245℃、保持時間は10秒前後に制御され、十分な濡れ性を確保しながら部品への熱ダメージを防止できます。

PCBGOGOの両面基板SMTラインでは、精密な温度制御が可能なリフロー炉を採用しており、各ゾーンの温度ばらつきは±2℃以内に抑えられています。この放熱性の優位性により、はんだの濡れ角は25°以下(IPC-A-610G準拠)を実現し、片面基板の一般的な30°よりも優れた接合強度を確保しています。

産業用センサー向け基板では、片面基板使用時に4%のはんだ不良が発生していましたが、両面基板SMTへ切り替えた結果、不良率は0.5%まで低下し、85℃環境下で5000時間連続動作してもはんだ不良は確認されませんでした。


2. 応力が分散され、はんだ剥離が起こりにくい

片面基板では、すべての部品とはんだ接合部が一方向に集中するため、振動や温度変化による基板の反りが発生すると、はんだ部に偏った応力がかかり、クラックや剥離の原因となります。

両面基板SMTでは、部品が表裏に分散配置されることで、機械的応力が両面に分担されます。その結果、1箇所あたりのはんだ接合部にかかる負荷は片面基板の約半分となり、耐振動性?耐熱サイクル性が大きく向上します。

さらに、同一サイズの基板で比較した場合、両面基板のはんだ接合点数は片面基板の約1.5倍になります。仮に一部のはんだに負荷がかかっても、全体の接続信頼性に影響を与えにくい構造です。

PCBGOGOでは、BGAやQFPなどの高密度部品に対してX線検査を実施し、内部ボイド率を5%以下に管理しています。外観検査では確認できない内部欠陥も可視化することで、潜在的な不良を事前に排除しています。


3. 工程が安定しており、人的ミスが少ない

両面基板SMTは、はんだ印刷、部品実装、リフロー工程まで高度に自動化された成熟工法です。手作業による補修が多くなりがちな片面基板と比較して、工程ばらつきや人的ミスが大幅に低減されます。

PCBGOGOでは、自動はんだ印刷機を用い、印刷精度は±5μmを実現しています。これにより、はんだ量不足による未接合や、過剰印刷によるブリッジ発生を防止できます。実装工程では高精度マウンターを使用し、部品ズレを最小限に抑えています。

リフロー後にはAOI検査を実施し、はんだ不良の検出率は99.5%以上に達しています。これは、目視検査や手直しに依存する片面基板と比べ、はるかに高い再現性と信頼性を確保できます。

スマートホーム用コントローラーの事例では、片面基板使用時の実装良率は95%程度でしたが、両面基板SMTへ切り替えたことで99.3%まで向上し、リワークコストは約80%削減されました。


4. 表面処理の選択肢が広く、耐酸化性に優れる

両面基板SMTは、表面処理工法の適応範囲が広く、無電解ニッケル金(ENIG)、無電解銀(ImAg)、HASLなどに対応可能です。処理精度も高く、はんだ接合部の耐酸化性能を向上させることができます。

例えば、無電解銀処理では、銀層厚を0.1μmから0.3μmに安定制御でき、接触抵抗は10mΩ以下に抑えられます。これは一般的な片面基板のHASL処理と比較して、耐酸化性に優れ、湿度の高い環境で6か月保管しても、はんだ表面の劣化や腐食が発生しにくい特長があります。


両面基板SMTが高信頼性を実現する理由

両面基板SMTのはんだ信頼性が高い理由は、
放熱性、応力分散、工程安定性、耐酸化性の4点に集約されます。

高信頼性が求められる製品や、はんだ不良に悩まされている案件では、両面基板SMTへの切り替えは非常に有効な選択肢です。

PCBGOGOでは、成熟した両面基板SMTプロセスに加え、はんだ接合信頼性評価や無料試作サービスも提供しています。量産時には納期保証制度もあり、安心して生産を任せることが可能です。高信頼性実装をご検討の際は、ぜひ技術チームまでご相談ください。


記事を書く
人気のキーワード