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基板材料の新動向|NVIDIAのPTFE・HC樹脂とガラスクロス不使用CCL

15 0 Oct 06.2026, 16:44:48

高周波基板の材料を検討するとき、PTFE樹脂かHC樹脂かという樹脂の分類だけで結論を出すことはできません。補強材の種類、銅箔、銅張積層板(CCL)とプリプレグの組み合わせ、実際の積層構成まで含めて評価する必要があります。

2026年9月30日、郭明錤氏のサプライチェーン調査として、NVIDIAのRubin Ultra NVL576向けスイッチトレイ基板で、PTFE系からHC系へのCCL変更テストが報じられました。これは材料選定の確定発表ではありません。本記事では報道内容をその範囲に限って紹介し、材料名を読むときに分けて考えたい軸と、設計・調達時の確認項目を整理します。

重要ポイントPTFE系・HC系という樹脂の分類と、ガラスクロスを使用するかどうかは別の軸です。報道された評価も最終採用を意味しないため、個別の材料グレード、補強材、CCL・プリプレグの構成、測定条件を確認して比較することが重要です。

NVIDIA向けRubin Ultra基板ではHC系CCLのテストが報じられた

郭明錤氏による2026年9月30日のサプライチェーン調査では、Rubin Ultra NVL576のスイッチトレイ基板向けに、ガラスクロス不使用のPTFE系CCLに代えて、HC樹脂を主成分とするガラスクロス不使用CCLをテストしているとされています。また、層間を接着する半硬化状態の樹脂シートをプリプレグと呼び、同報道ではPPと略記しています。調査では、CCLをHC系に変えながら、プリプレグは従来と同じHC系材料を継続して使う構成と説明されています。

同氏の報告によると、予備評価ではHC系CCLが対象基板の高周波電気要件を満たした一方、電気性能は従来のPTFE系案を下回ったとされています。ただし、これらはサプライチェーン調査に基づく情報であり、NVIDIAによる公式発表や最終的な材料認定の公表ではありません。材料の決定や量産採用が確定したものとして扱わないよう注意が必要です。

また、同じ報告では、HCを主成分としながら一部にPTFEを含む評価材料もあるとされています。そのため、今回の動きを「PTFEを完全にやめてHCへ移行」とまとめるのも正確ではありません。樹脂名は材料の大まかな分類を示すもので、実際の配合や製品構成は個別の仕様確認が必要です。

ガラスクロス不使用CCLは樹脂の種類とは別の構造

CCLは、銅箔と絶縁層を組み合わせた基板材料です。絶縁層は樹脂だけで構成されるとは限らず、ガラスクロスなどの補強材やフィラーを含む場合があります。多層基板では、銅箔付きのCCLに加え、層間を接着する半硬化状態のプリプレグを組み合わせて積層します。

ガラスクロスは、絶縁基材の補強材として絶縁性・耐熱性・寸法安定性などに関わります。一方、「ガラスクロス不使用」は織布状のガラスクロスを使わない構成を表す言い方であり、材料中にガラス成分が一切ないことや、ガラスコア基板であることを意味するとは限りません。補強材の種類や有無は、製品グレードごとの仕様で確認します。

したがって、材料は少なくとも「樹脂系」と「補強材・構造」を分けて見ます。PTFE系にも補強材を含む製品があり、HC系にもガラスクロスを用いる製品があります。PTFEなら必ずガラスクロス不使用、HCなら必ずガラスクロス使用という対応関係ではありません。

PTFE系とHC系の樹脂分類、ガラスクロスの使用有無を別軸で示したCCLの分類図

CCLとプリプレグの役割や基板材料の基本分類を整理したい場合は、基板材料の基本ガイドも参考になります。

PTFE樹脂とHC樹脂は材料名だけで優劣を決められない

PTFE系やHC系という名称だけでは、基板としての電気特性や製造条件を比較しきれません。同じ樹脂系でもグレードや補強材、フィラー、銅箔の表面状態が異なれば、誘電率(Dk)、誘電正接(Df)、寸法安定性、銅箔との接着性などは変わります。数値を比べる場合は、測定周波数、試験方法、試料構成、銅箔条件をそろえる必要があります。

高周波用途では、低い伝送損失だけを材料選定の基準にせず、必要な信号性能を満たす範囲で積層・加工・信頼性も確認します。穴あけやめっき、積層条件、銅箔との接着、寸法変化などは材料グレードと製造条件の組み合わせで検討する項目です。「PTFE系は常に高性能」「HC系は常に加工しやすい」といった材料系全体の順位付けは避け、採用候補の製品仕様で判断します。

また、CCLとプリプレグは一体で評価します。異なる材料の組み合わせでは、樹脂の流動・硬化条件や層間接着、積層後の寸法・信頼性に関わる確認が必要です。今回の報道でもCCLの樹脂系を変更しながらプリプレグは別途指定されており、材料名を一つだけ見ても積層構造全体は把握できません。

基板材料を比較するときの確認項目

複数の材料を比較する場合は、次の項目を同じ用途・同じ前提で確認します。カタログの代表値だけでなく、採用する積層構成に適用できるデータかを材料メーカーや基板製造側に確認してください。

確認項目確認する内容設計への意味
電気特性Dk・Df、測定周波数・方法、銅箔条件、伝送損失インピーダンスや信号損失の設計条件に合うか
材料構成主樹脂、補強材、フィラー、CCL・プリプレグの組み合わせ材料名だけでは分からない積層条件を特定する
製造条件積層、穴あけ、めっき、銅箔との接着に関する条件採用する工場・工程で安定して製造できるか確認する
信頼性熱膨張、吸湿、層間接着、熱サイクルなどの要求使用環境・寿命・認定条件に適合するか評価する

材料変更は設計要求と製造側の確認をそろえて進める

材料変更を検討するときは、まず回路側の必要条件を整理します。対象信号の周波数帯、許容損失、インピーダンス、層構成、使用温度、必要な信頼性評価を明確にしておくと、材料データを用途に沿って比較できます。

次に、候補材料の仕様書で特性値の測定条件を照合し、CCLとプリプレグの組み合わせや積層条件を製造側と確認します。材料を変えると誘電特性や厚さ構成が変わるため、配線幅・間隔、層間構成、インピーダンス、評価用クーポンなどへの影響も設計データに反映させます。材料の置き換えを購買部門だけで完結させず、回路設計・基板設計・製造の関係者で条件を共有することが重要です。

材料オプションの概要は、基板材料の案内ページで確認できます。実際に採用する材料や積層構成の可否は個別仕様に依存するため、候補グレードと要求条件をそろえて確認してください。

まとめ|PTFE・HCとガラスクロスの有無は分けて考える

Rubin Ultra NVL576向けスイッチトレイ基板では、HC樹脂を主成分とするガラスクロス不使用CCLのテストが報じられています。ただし、これは供給網調査に基づく報道であり、NVIDIAの公式な最終材料選定を示すものではありません。

基板材料を選ぶ際は、PTFE系かHC系かだけでなく、補強材やフィラー、銅箔、CCLとプリプレグの積層構成、電気特性の測定条件、製造性と信頼性を確認します。樹脂名や「ガラスクロス不使用」という表現だけで材料の適合性を判断せず、用途の要求仕様と個別グレードのデータを照らし合わせることが大切です。

基板の用途や製造サービスの情報を確認する場合は、PCBgogoのホームページをご覧ください。基板仕様がまとまった後の費用確認には、基板製造の見積もりページを利用できます。

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