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AI眼鏡向けフレキシブルPCBの信頼性設計ガイド 基材から補強まで
14 0 Dec 02.2025, 15:22:03


1. はじめに

AI眼鏡の「テンプルとフレーム接続部」は着脱時に頻繁に曲げられます。一般的なフレキシブルPCB(FPC)は曲げ角度0度から90度で約5万回の反復曲げ後に断線しやすく、不具合率が15%を超えるケースがあります。あるスマートグラスメーカーではFPC断線が原因でアフターサービス費用が製品全体の20%以上を占め、年間損失は300万円に達しました。

PCBGOGOはフレキ基板カスタムを8年間提供し、独自開発したAI眼鏡向けFPCは曲げ半径1mmで10万回の反復曲げに耐え、不具合率0.5%以下を実現しています。既に20社以上のAR VRメーカーへ導入されています。本稿では、基材選定、配線最適化、補強設計の要点を解説し、曲げ耐性に関する課題を持つ構造設計者のために実用的な指針を提示します。

2. 信頼性に関する技術解説

AI眼鏡用FPCの信頼性はIPC 6012(フレキシブル基板規格)第3.4項に基づくことが推奨されます。主要な故障要因は「曲げ応力の集中」と「材料の疲労」です。

曲げ応力の集中は「配線の直角コーナー」や「パッドのエッジ部」に発生します。配線コーナーが直角90度の場合、応力集中係数は2.5を超え、許容値1.5を大きく上回ります。PCBGOGOの疲労試験では、90度コーナー設計のFPCは3万回の曲げで断線率40%を示しました。

材料疲労は基材自体の曲げ耐性に起因します。一般的なPI(ポリイミド)基材は曲げ半径1mmで5万回の曲げ後、引張強度が50%低下します。一方、デュポンKapton HN PI基材(厚み0.05mm)は同条件で強度低下が15%に抑えられ、IPC TM 650 2.4.31(フレキシブル材料曲げ試験)に適合します。

さらに、銅箔の種類も重要です。圧延銅(RA銅)は電解銅(ED銅)に比べ曲げ耐性が3倍高く、曲げ半径1mmで10万回の試験後もRA銅の断線率は1%以下ですが、ED銅は20%を超えます(GB T 2036 2019 第4.3項)。

3. 実用設計ガイド

3.1 信頼性を高める4つの設計ステップ

基材選定
デュポンKapton HN PI(厚み0.05mmから0.1mm 引張強度150MPa以上)
銅箔は圧延銅(RA銅 厚み18μmから35μm)
パッド部分は35μm(1oz)で摩耗を低減
カバーレイはPI材(厚み0.03mmから0.05mm 接着力0.8N mm以上)

配線設計
配線コーナーは丸形にし、コーナー半径0.1mm以上
曲げ位置では配線を曲げ方向に対して平行に配置
曲げ部のビアは避ける。やむを得ず配置する場合は穴径0.15mm以下、間隔0.3mm以上

補強構造
曲げ部の両端にFR4補強板(厚み0.2mmから0.3mm)
補強面積は曲げエリアの端部を1mm以上覆う
パッド部分にはSUS304製補強板(厚み0.1mm)を貼り付け、接着力1.2N mm以上

製造プロセス
アルカリエッチング方式 エッチングファクター3 1以上
カバーレイ加圧条件 温度180℃±10℃ 圧力15kg cm2 時間30分
気泡率0.5%以下

3.2 信頼性試験

曲げ試験
IPC TM 650 2.4.31準拠
曲げ半径1mm 曲げ角度0度から90度
速度30回 分
10万回後、導通抵抗変化10%以下(初期値50mΩ以下)

耐温度試験
温度 40℃から85℃を1000サイクル
高温85℃2時間 低温 40℃2時間
カバーレイ剥離なし 断線なし

耐摩耗試験
硬度60±5(ショアA)ゴムによる往復摩擦100回
パッド部に露銅なし IPC TM 650 2.5.4.2に適合

まとめ

AI眼鏡向けフレキシブルPCBの信頼性設計では「材料の曲げ耐性」と「応力分散」が最重要です。デュポンKapton PIと圧延銅の組み合わせ、配線コーナーの丸形化、補強構造の最適化により、10万回曲げ耐性を実現できます。

PCBGOGOは柔性PCBカスタムと信頼性試験を一括で提供しています。基材の提案、補強設計、曲げ試験、耐温度試験、耐摩耗試験に対応し、長期使用に耐えるAI眼鏡FPCの開発を支援します。


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