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ウェアラブル健康モニタリング機器PCBに求められる柔軟性と耐久性
108 0 Sep 19.2025, 10:24:13

近年、ウェアラブル健康モニタリング機器は「家庭の健康管理パートナー」として注目を集めています。たとえば、動的心電図パッチは心臓活動を24時間監視し、スマートバンドは歩数や睡眠を記録、血糖値モニタリングウォッチはリアルタイムで血糖変化を表示します。これらの機器は長時間皮膚に密着し、手首や胸部の動きに合わせて繰り返し曲げられるほか、汗や化粧品にもさらされるため、内部のPCBには「柔軟性」「耐腐食性」「耐久性」といった特別な要件が課されます。従来の硬質PCBでは曲げや汗による腐食に耐えられず、ウェアラブル用途には柔性PCB(FPC)の導入が不可欠です。

柔軟性を支える基材の選択

ウェアラブル機器のPCBは手首の動きに伴う3mm以下の曲げ半径にも対応しなければなりません。その鍵となるのが基材です。一般的なFR-4は硬くて曲げられませんが、ポリイミド(PI)基材は厚さ25?50μmで、曲げ半径2mmでも10万回以上の折り曲げに耐え、絶縁抵抗10^12Ω以上を保持できます。実際、ある心電図パッチメーカーはFR-4を使用した際、胸部に密着できず一度の曲げで断線が発生しましたが、PI基材のFPCを採用することで7日間連続装着でも不具合は生じませんでした。ただしPI基材は表面が滑らかでソルダーレジストの密着性が低く、汗が侵入しやすいため、プラズマ処理による表面粗化で密着力を3倍に高め、腐食リスクを低減させます。

汗による腐食への対策

人間の汗には塩分や乳酸が含まれ、長時間の接触は銅配線の腐食を引き起こします。そのためFPCには二重の防護設計が必要です。第一に「表面処理」として、厚さ3μm以上の無電解金めっき(ENIG)とポリパラキシレンコーティングを組み合わせ、銅箔への汗の浸透を防ぎます。試験では72時間の人工汗浸漬後、銅腐食面積は0.1%に抑えられ、従来PCBの5%に比べ大幅に改善しました。第二に「配線レイアウトの最適化」により、信号配線を内層に配置し、外層は必要最小限のパッドのみとすることで、汗との直接接触を最小限に抑えます。これにより、ある血糖モニタリングウォッチでは故障率を8%から0.3%に低減することができました。

小型化-高密度化と低消費電力の両立

ウェアラブル機器は名刺サイズや手首装着可能なコンパクトさが求められます。その中でセンサー、信号処理、ワイヤレス通信など多機能を実装しつつ、バッテリー駆動を7日以上持続させるには、高密度実装と低消費電力設計が不可欠です。COB(Chip on Board)実装によってセンサーを直接PCBに搭載し、線幅/線間0.1mmの微細配線技術を活用することで、限られた面積により多くの回路を集積可能です。あるスマートバンドの事例では、15×30mmの基板に心拍センサー、Bluetoothモジュール、電源管理回路を実装し、消費電流を5mAまで抑制。満充電で14日間連続使用が可能となりました。さらに、皮膚との長時間接触に配慮し、基板のエッジは丸み加工を施し、ハロゲンフリーで低刺激な医療グレードのソルダーレジストを採用することで、生体適合性も確保します。

専用ソリューションの提供

これらの課題に対応するため、当社はウェアラブル機器専用のFPCソリューションを開発しました。医療グレードのPI基材により曲げ半径2mm-10万回以上の折り曲げに耐え、表面は3?5μmの金めっき+ポリパラキシレンコーティングで72時間の人工汗試験でも腐食ゼロを実現。さらにCOB実装と微細配線により消費電力を30%削減し、ISO13485および生体適合性試験にも合格しています。動的心電図パッチ、スマートバンド、血糖モニタリングウォッチなど、多様なウェアラブル健康モニタリング機器に対応可能です。

ウェアラブルデバイス市場が拡大する中、柔軟性-耐汗性-小型化を実現したFPCは、信頼性の高い健康データ取得を支える中核技術としてますます重要性を増しています。


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