計測機器向けPCBのパッド間隔“ソーシャルガイド”
1. はじめに
計測機器のPCB設計に携わるエンジニアであれば、一度はパッド間隔に悩んだ経験があるはずです。パッド同士を近づけすぎると、リフロー後にブリッジやショートが発生し、不良率が5%近くまで上がることがあります。逆に広げすぎると、基板サイズが無駄に大きくなり、機器の小型化要求に対応できません。
さらに「材料を節約したい」という理由だけで0.08mmまで攻めてしまうと、量産時にAOIが頻繁にアラームを出し、リワーク地獄に陥るケースも珍しくありません。
PCBGOGOは120万件以上の案件を対応してきた「PCBのプロ」として、パッド間隔が原因のトラブルを数多く見てきました。本記事では“ソーシャルディスタンス”という考え方を使いながら、パッド間隔を最適化するポイントを解説します。近すぎず、遠すぎず、良率99.9%を目指すための実践的ガイドです。

2. 核心技術:パッド間隔の“黄金ルール”
2.1 パッド間隔は“感覚”ではなく標準で決まる
パッド間隔はエンジニアの勘ではなく、IPC規格で明確に定義されています。
IPC-2221では、計測機器向けPCBの一般的なパッド間隔は、パッド直径の1.2倍以上、もしくは0.1mm以上のいずれか大きい方を採用することとされています。
例えば、0402パッケージのパッド直径が0.8mmの場合、間隔は1.0mm以上が必要です。01005のような超小型パッド(直径0.2mm)でも、0.1mm未満にはできません。
さらに0.5mm以下の微細ピッチパッドの場合はIPC-7095に従い、パッド間隔は使用するはんだペースト厚の2倍以上を確保する必要があります。これを守らないと、リフロー時に容易にブリッジが発生します。
2.2 近すぎても遠すぎても問題が起こる理由
間隔が小さすぎる(0.1mm未満):
はんだペースト印刷時に隣のパッドとつながりやすく、リフロー後にブリッジが発生します。リワーク時にも再び流れやすく、修正を重ねるほど悪化することがあります。
間隔が広すぎる(0.5mm以上):
安全に見えて、実は基板面積のムダにつながり、計測機器の小型化メリットを失います。また、パッド間隔が広いとリードの力のかかり方が不均一になり、振動環境ではんだクラックが発生しやすくなります。
製造要件を考慮しない:
設計段階で間隔だけを見て、製造条件を忘れてしまうケースもあります。例えばPCBGOGOの標準的なステンシル厚は0.12mmで、はんだペーストの実印刷厚は約0.1mmです。パッド間隔が0.2mm未満だと溢れやすくなります。
3. 実践ガイド:パッド間隔を“近すぎず遠すぎず”にする方法
3.1 一般パッド:最適な“ソーシャルディスタンス”設計
0402-0603などの一般部品:
IPC-2221に基づき、0402は1.0mm、0603は1.2mmのパッド間隔が推奨されます。これでブリッジを防ぎつつ、基板面積のムダも避けられます。
PCBGOGOの無料DFMでは、間隔が0.09mmのように規格外の場合、自動的に警告が表示されます。
電源ICなどのパワー部品(リードが太いもの):
大電流に対応するため、パッド間隔は0.3mmから0.5mm程度に広げ、さらに放熱パッドも確保します。間隔が狭すぎると、はんだ溜まりによる未接合や虚偽不良が発生しやすくなります。
3.2 微細ピッチパッド(0.5mm以下):
“近いけれど境界は守る”設計
ステンシル設計:
微細ピッチではレーザー加工ステンシルを使用し、開口サイズはパッド寸法の90%とします。
例えば間隔0.3mmなら開口は0.27mm、はんだペースト厚は0.08mm程度に抑えます。
PCBGOGOのGKG-G5自動印刷機ははんだ量を高精度で制御し、誤差は±15%以内です。
高精度実装:
PCBGOGOが使用するASM(Siemens)高速実装機は±50μmの貼付精度を持ち、パッドに対して正確に配置できます。
実装後はSPIでペースト量を測定し、過剰な部分はその場で補正し、ブリッジを防止します。
まとめ
計測機器向けPCBのパッド間隔は、人間同士の“ソーシャルディスタンス”に例えることができます。近すぎれば衝突が起こり(ブリッジ、ショート)、離しすぎればリソースのムダ(面積、コスト)になります。
重要なのは、標準に従い、製造条件を理解し、適切な間隔を設計することです。
PCBGOGOは、AOI検査、最新の実装設備、無料DFMチェック、無料試作などを通じ、最適なパッド間隔設計を強力にサポートします。