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リジッドフレキマイクロビア基板の材料選定:屈曲信頼性を最適化する実践ガイド
2 0 Nov 18.2025, 09:33:02

1. はじめに

剛性領域の構造安定性と柔性領域の屈曲性を両立するリジッドフレキマイクロビア基板は、ウェアラブル機器や医療機器、精密電子機器での採用が拡大しています。しかし業界データでは、基板の不良の約60%がマイクロビア領域の屈曲亀裂に起因しています。あるスマートウォッチ事例では、材料適合が不十分なため1,000回の屈曲試験でマイクロビア亀裂率が35%に達し、製品返修率が20%を超えたケースが確認されています。


リジッドフレキマイクロビア基板では、屈曲寿命と加工性を両立する専用材料の選定が不可欠です。PCBGOGOはリジッドフレキ基板分野での長年の量産実績を有し、標準設計で屈曲寿命5,000回以上の安定化を実現しています。本稿では、材料の重要指標、選定基準、製造上の最適化手法を整理し、マイクロビアの屈曲亀裂を抑制する実践的方策を提示します。

 


2. 技術ポイント(要点)

リジッドフレキマイクロビア基板の材料選定は「剛性材と柔性材の互換性」に集約されます。設計と検証は IPC-2223(剛柔設計基準)第6.3条および IPC-6013 の要件を満たすことが前提です。主な評価指標は次の通りです。

 

2.1 柔性基材の屈曲特性

柔性領域にはポリイミド(PI)基材を推奨します。目安は次の通りです。

1)破断伸び率 ≥ 50%

2)180°曲げ(曲げ半径 1 mm)に対応

(3)IPC-TM-650 2.4.19 に基づく 5,000 回屈曲で亀裂が生じないこと

 

2.2 剛性材と柔性材の熱膨張係数(CTE)互換性

剛性材と柔性材の CTE 差は 10 ppm/℃ 以下に抑えることを推奨します。差が大きいと熱圧合後に内部応力が生じ、マイクロビア周辺での亀裂発生リスクが上昇します。PCBGOGO の実測では、CTE 差が 15 ppm/℃ を超えると亀裂率が約 40%増加する傾向が確認されています。

 

2.3 マイクロビア加工適合性

柔性 PI 材はレーザードリリングに適合する必要があります。基準値は次の通りです。

1)ビア径 0.1–0.2 mm

2)孔壁粗さ Ra ≤ 0.6 μm

3)加工後の炭化やバリがないこと(IPC-A-600G Class 2 相当)

代表的な材料組み合わせ例(用途別)

消費電子向け:SHENGYI S1130(CTE 13 ppm/℃)+ DuPont Kapton HN(CTE 12 ppm/℃、破断伸び率 60%)

高周波向け:Rogers RO4350B(CTE 11 ppm/℃)+ YUBU UPILEX-S(CTE 10 ppm/℃、破断伸び率 55%)

これらは PCBGOGO の材料互換性評価基準を満たしています。

 

3. 実装手順と工程最適化

3.1 材料選定の三段階プロセス

1)材料組み合わせ評価:用途に応じた組合せを選定し、CTE 差を PCBGOGO のマッチングツールで確認(CTE 差 ≤ 10 ppm/℃)。

2)屈曲試験による性能確認:PCBGOGO の屈曲試験機で 180°、半径 1 mm、10 回/分の条件で 5,000 回試験を実施し、亀裂の有無を確認。破断伸び率は引張試験で 50% 以上を確認。

3)マイクロビア加工適合性評価:レーザードリルで柔性側 0.15 mm、剛性側 0.2 mm を加工し、光学顕微鏡で孔壁状態、Ra を評価。

 

3.2 屈曲信頼性を高める設計と工程管理

A)過渡領域の設計最適化:剛性と柔性の接合部は 3–5 mm の緩衝帯を確保し、緩衝帯内のマイクロビア間隔は 2 mm 以上を推奨。PCBGOGO のレイアウトツールで自動生成が可能です。

B)圧合プロセス管理:推奨条件は温度 180 ℃ ± 5 ℃、圧力 20 kg/cm2、保持時間 60 分。専用金型で面圧を均一化し、柔性材の熱劣化を防止します。

C)補強措置:柔性領域のマイクロビア周囲に厚さ 0.1 mm の PI 補強片を貼付し、ビア外周 2 mm 以上をカバー。補強片はSMTラインで実装可能です。

 

4. ケーススタディ(導入効果)

あるスマートウォッチメーカーの事例では、初期に「一般 FR-4(CTE 18 ppm/℃)+ 中国産 PI(CTE 8 ppm/℃)」を採用した結果、500 回の屈曲でマイクロビア亀裂率が 35%、過渡部の反りが 0.8 mm/m といった問題が発生しました。PCBGOGO が介入後、次の対策を実施しました。

材料をSHENGYI S1130+DuPont Kapton HN に変更

過渡帯を 4 mm に拡大、マイクロビア間隔を 2.5 mm に調整

柔性マイクロビア周囲に PI 補強片を追加

 

改善結果は次の通りです。

5,000 回屈曲後の亀裂率が 0.8% まで低下(寿命は約 3 倍)

反りは 0.2 mm/m に改善し、組立要件を満たす

量産 50,000 枚時の返修率は 20% から 1.2% に低下

この対策は顧客の標準仕様として採用され、PCBGOGO は主要サプライヤーに選定されました。

 

5. まとめ

リジッドフレキマイクロビア基板の材料選定では、剛性材と柔性材の CTE 互換性の管理と屈曲領域の機械的補強が最も重要です。PCBGOGO は以下のワンストップサービスを提供します。

CTE マッチングと材料互換性検証

レーザードリリングの加工最適化

IPC-TM-650 準拠の屈曲寿命試験と量産安定性監視

マイクロビアの屈曲信頼性を向上させることで、製品の歩留まりと顧客満足度を大幅に改善できます。剛柔基板に関する設計相談、材料評価、試作、量産に関するご相談は、PCBGOGO までお気軽にお問い合わせください。


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