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波峰はんだ工程における PCB スルーホールはんだ排出不良を防ぐためのパラメータ最適化

5 0 Dec 23.2025, 10:20:51

波峰はんだは PCB スルーホール実装における主流工法であり、工程パラメータのわずかな違いが、スルーホール内のはんだ充填状態や はんだ排出不良の発生率に直接影響します。実際の量産現場では、パラメータ設定が適切でないことにより スルーホールはんだ排出不良が多発し、製造コストの増加や 納期遅延につながるケースが少なくありません。


波峰はんだの主要パラメータには、はんだ温度、予熱温度、搬送速度、波高、波角度の 5 項目があり、これらは相互に影響し合う関係にあります。いずれか 1 つでも逸脱すると、工程全体に連鎖的な不具合を引き起こします。


まず、はんだ温度の管理は最重要ポイントです。はんだの粘度は温度と反比例の関係にあり、温度が高すぎると粘度が低下して流動性が過剰となり、スルーホールからのはんだ排出が発生しやすくなります。一方で、温度が低すぎる場合は十分に溶融せず、未はんだや冷はんだといった不良につながります。


PCBGOGO の実験データによると、一般的に使用される Sn63 Pb37 はんだ合金では、最適なはんだ温度は 255±5℃ です。この温度域では、良好な濡れ性を確保しつつ、過度な流動を抑制できます。なお、温度測定は はんだ槽全体の温度ではなく、実際に波峰が 基板 と接触する有効はんだ付け領域で行うことが重要です。測定位置の誤差は、誤ったパラメータ設定の原因となります。次に、予熱温度と予熱時間の最適化は、基板中の水分による影響を低減し、はんだ排出リスクを間接的に抑制します。


PCB は保管や輸送中に空気中の水分を吸収します。この状態で高温の波峰にはんだ付けを行うと、水分が急激に蒸発し、発生した水蒸気がスルーホール内の溶融はんだを押し出すことで、はんだ飛散や排出不良を引き起こします。


PCBGOGO の工程基準では、PCB の予熱温度を 90 から 110℃、予熱時間を 60 から 90 秒とし、基板含水率を 0.05 パーセント以下まで低減させています。さらに、予熱により基板表面温度が均一化され、はんだ付け時の熱応力が緩和されることで、基板反りによるスルーホール位置ずれや排出不良の防止にも寄与します。


さらに、搬送速度と波高の協調調整は、スルーホール内のはんだ充填量を制御する上で重要です。搬送速度は PCB と波峰との接触時間を決定します。速度が遅すぎると接触時間が長くなり、過剰にはんだが充填されて排出不良が発生します。逆に速すぎると、充填不足により接合強度が低下します。


PCBGOGO では、搬送速度を 1.0 から 1.8 メートル毎分の範囲で推奨しており、スルーホール密度に応じて調整しています。スルーホール密度が高い基板では速度をやや低下させ、十分な充填を確保します。密度が低い基板では速度を上げ、不要なはんだ付着を抑制します。


波高は、スルーホール底部を 1 から 2 ミリメートル程度覆う高さが最適です。波高が高すぎると、過剰な圧力により はんだが強制的に流入し、排出不良を招きます。


最後に、波峰角度の調整も はんだ排出防止に有効です。コンベアの傾斜角度を 3 から 5 度に設定することで、重力を利用して溶融はんだを速やかにはんだ槽へ戻し、スルーホール内への残留を抑制できます。


PCBGOGO では、角度調整可能なコンベア機構を導入し、顧客ごとの PCB 特性に応じて波峰角度を柔軟に調整することで、防排出効果をさらに高めています。


波峰はんだ工程のパラメータ最適化は、単一条件の調整ではなく、PCB 設計や使用材料を含めたシステム全体での最適化が求められます。


PCBGOGO は 工程パラメータデータベースを構築し、製品ごとに最適条件を迅速に適用することで、スルーホールはんだ排出不良率を業界トップレベルまで低減し、安定した電子製品製造を支えています。


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