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PCB電鍍不良の修復方法と廃棄基準の解説
12 0 Sep 26.2025, 11:26:48

PCB製造において、電鍍工程は導通性や信頼性を左右する重要なプロセスです。しかし、全工程での予防策を講じても、電鍍不良が少量(通常は1%以下)発生することは避けられません。このため、「適切な修復」によって廃棄ロスを低減する一方で、「修復不能な不良」を明確に廃棄基準として定めることが重要です。修復は「最小損傷-精密操作」を原則とし、誤った処置による二次不良を防止する必要があります。また、廃棄は「修復コスト」と「製品信頼性」のバランスをとり、軽微な鍍金不均一は修復可能でも、大面積のスルーホール無銅は廃棄対象とする判断が求められます。以下では、代表的なPCB電鍍不良の修復方法、修復後の検査要件、そして廃棄基準について解説します。

一、PCB電鍍不良の修復方法:分類別アプローチで損傷を最小化

1. スルーホールの無銅-薄銅

代表的な不良であり、小規模(基板1枚あたり5個以下)の場合は局所電鍍による補銅が可能です。10個以上の大規模不良は信頼性確保が困難なため廃棄が推奨されます。修復では酸性銅めっき液を使用し、0.5~1A/dm2の電流密度で局所補鍍を行い、銅厚25μm以上を確保します。

2. 鍍金層の剥離 - ピールオフ

小面積(10mm2以下)であれば局所再鍍が可能です。銅層の剥離は局所銅補鍍、ニッケル金層の剥離はニッケル層(5~8μm)と金層(0.1~0.3μm)を再鍍し、テープ試験で密着性を確認します。20mm2を超える広範囲剥離は再鍍後の信頼性が低下するため廃棄対象となります。

3. 鍍金ピンホール-気泡

非貫通かつ小径(ピンホール≦0.03mm、気泡≦0.1mm)の場合は導電ペーストで充填後、局所銅補鍍を行います。顕微鏡で平滑性を確認し、絶縁抵抗1011Ω以上を満たすことが必要です。貫通ピンホールや0.2mm以上の大気泡は廃棄とします。

4. 銅瘤-バリ

表面の突起や毛刺はサンドペーパーまたはマイクログラインダーで除去可能です。修復後、導通試験やAOI検査でショートや線幅減少(≧10%)がないことを確認します。修復後の銅厚は設計値の80%以上を保持する必要があります。

二、修復後の検査基準:信頼性確保のための必須項目

修復後のPCBは以下の基準に従って検査され、合格した場合のみ次工程に進めます。

  • 外観検査:顕微鏡200倍で観察し、傷や色調不一致がないこと。

  • 膜厚検査:X線膜厚計で測定し、偏差±10%以内。

  • 密着性検査:3Mテープ試験で剥離がなく、5mm半径で10回の曲げ試験でも剥離がないこと。

  • 電気特性検査

    • スルーホール導通抵抗 ≦100mΩ

    • ライン間抵抗 ≧1000Ω

    • 絶縁抵抗 ≧101Ω(湿潤環境下試験)

    • 重要部位は260℃熱衝撃10秒、48時間塩水噴霧試験に合格すること

三、PCB電鍍不良の廃棄基準:コストと信頼性のバランス

以下の条件に該当する場合は修復コストが過大、または信頼性確保が困難と判断され、廃棄基準とされます。

  • スルーホール無銅-薄銅:1枚あたり10孔以上(多層板では5孔以上)、補鍍後銅厚20μm未満、導通抵抗500mΩ超。

  • 鍍金剥離:単一領域20mm2超、または総面積が基板面積の5%以上。再鍍後も密着不良の場合。

  • ピンホール - 気泡:貫通孔や気泡直径0.2mm超、または1cm2あたり5個以上。

  • 銅瘤-バリ:修復後も線幅減少10%以上、隣接ライン間隔0.05mm未満、導通不良が残る場合。

  • その他深刻不良:膜厚偏差30%以上、導電率不良、異物混入による信号伝送障害。

まとめ

PCB電鍍不良の修復は「精密分類-最小損傷」を原則とし、修復後は外観-膜厚-密着性-電気特性を徹底検査する必要があります。一方で、廃棄は「科学的判定-コスト管理」を徹底し、無駄な修復コストや信頼性リスクを回避することが重要です。結果として、品質とコストの最適なバランスを実現することが、PCB製造における持続的な競争力強化につながります。


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