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SMT設計のよくある問題と解決策:虚焊から生産効率までの全工程解析
5 0 Sep 26.2025, 11:27:06

SMT設計と実装プロセスにおいて、はんだ不良、部品のずれ、生産効率の低下といった典型的な問題は、製品の歩留まりに直結し、コスト増大を引き起こします。ある電子工場の統計によれば、設計が最適化されていないSMTラインでは歩留まりが85%以下にとどまる一方、設計と工法を見直すことで99%以上に改善された事例も報告されています。これらの問題は単独で発生するものではなく、設計段階での工法要件の見落としや、実装プロセスとの不整合が複合的に作用して起こります。本記事では、SMT設計における五大問題を取り上げ、その発生要因を分解し、具体的な解決策と予防策を提示します。

問題1:はんだ不良

はんだ不良は、実装後に部品とパッドが十分に接触せず、電気抵抗が100mΩ以上になる状態を指します。断続的な接触不良を伴うことが多く、振動によって一時的に回復する場合があるため、検出が難しい厄介な不良です。例えば、スマートフォンのWiFiモジュールでBGAのはんだ不良が発生し、信号が断続的に途切れる不具合が生じ、返却率が15%に達した事例もあります。
主な原因は以下の通りです。パッド寸法の不一致、パッド表面の酸化や汚染、ステンシル開口の不適合、封止設計とパッドの位置ずれなどです。解決策としては、IPC-7351規格に基づいた適正寸法でのパッド設計、無水エタノールでの基板清浄、ステンシル開口の調整、そしてX線やAOIによる検査の徹底が挙げられます。

問題2:部品の位置ずれ(偏位)

部品中心とパッド中心のずれが0.1mmを超えると、短絡や光学特性の不良につながります。特に0.2mmを超える場合には手動補正が必要となり、生産効率が大幅に低下します。例えば、LED照明基板で0603 LEDが0.15mm偏位し、短絡が10%発生したケースでは、バッチごとに2時間以上の追加工数が発生しました。
原因は、部品間隔不足、シルク印刷の不鮮明さ、非標準封止の使用、基板の反りなどです。設計段階では部品間隔をIPC推奨値以上に確保し、シルクの視認性を高めること、また基板の反りを0.5%以下に抑える対称積層設計を採用することが効果的です。

問題3:BGAの短絡

BGAの相隣するはんだボールが溶融して接触することで発生する短絡は、最も致命的な不良のひとつです。返修困難であるため、短絡率が5%を超えるとロスが急増します。サーバー用BGA-256で短絡率が8%に達し、1ロットで20個以上が廃棄となったケースもあります。
主因は過大なパッド設計、過大なステンシル開口、BGAボールの酸化、回流炉温度の過昇です。BGAパッドはボール径の70--80%、ステンシル開口はパッド径の85--90%に調整し、部品は湿度30%以下で保管、回流炉のピーク温度は260--270℃に制御することが推奨されます。

問題4:生産効率の低下

SMTラインの実装速度が2万点/時以下に落ち込むと、納期遅延の要因となります。設計能力が3万点/時であっても、実測が1.8万点/時にとどまる工場も少なくありません。
効率低下の典型要因は、同一種類の部品が異なる方向で配置されていること、部品種類が多すぎること、基板位置決め孔の寸法誤差、異形部品の多用です。設計段階で部品の方向を統一し、部品種類を30種以内に整理し、位置決め孔誤差を±0.02mm以内に抑えることで、効率改善が可能です。

まとめ

SMT設計における典型的な不良は、設計-工法-材料-生産管理が複合的に影響して発生します。重要なのは「設計段階で生産性を考慮すること」、すなわちDFM(Design for Manufacturability)の原則に基づき、工法に適合した設計を行うことです。さらに、生産後の不良データを設計工程にフィードバックする仕組みを構築することで、歩留まりと効率を継続的に改善することができます。


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