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PCB積層設計における対称構造と非対称構造の選定戦略

1 0 Dec 24.2025, 16:55:49

PCB多層板設計において、積層構造を対称にするか非対称にするかの選定は、PCB積層設計における最重要判断ポイントの一つです。両者にはそれぞれ適した用途と技術的な要点があり、構造選定を誤ると、プレス後の反り、層ずれといった製造トラブルを引き起こすだけでなく、最終製品の電気特性にも大きな影響を与えます。PCB分野で豊富な実績を持つPCBGOGOでは、長年の実務経験を通じて、対称構造と非対称構造の最適な選定戦略を確立し、設計と製造プロセスの最適な両立を実現しています。

まず、対称積層構造の定義を明確にします。対称構造とは、PCBの中心面を対称軸として、上下両側のコア材厚、銅厚、プリプレグ(PP)の種類および厚みが完全に一致する構造を指します。この構造の最大の特長は、プレス工程における応力分布が均一となり、基板の反り変形を大幅に抑制できる点です。IPC-4101規格では、対称構造PCBの反りは0.75%以内に抑えることが求められており、高い平坦性が要求される民生電子機器や通信機器において、最も一般的に採用されています。

PCBGOGOでは、ある8層ノートパソコン用マザーボードの積層設計において、完全な対称構造を採用しました。構成は、L1(信号層、1OZ銅)→ L2(GND層、2OZ銅)→ L3(信号層、1OZ銅)→ L4(電源層、2OZ銅)→ 中心対称面 → L5(電源層、2OZ銅)→ L6(信号層、1OZ銅)→ L7(GND層、2OZ銅)→ L8(信号層、1OZ銅)です。この対称配置により、プレス後の反りは0.3%に抑えられ、業界基準を大きく上回る平坦性と高速信号の安定した伝送性能を両立しました。

一方、非対称積層構造は、中心対称の概念を持たず、上下で積層条件が大きく異なる構造です。この構造は、特殊な機能要件を持つPCBに用いられることが多く、例えば片面に高い放熱性能が求められる産業用制御基板や、片面高密度配線が必要なRF基板などが挙げられます。非対称構造の最大の設計課題は応力バランスであり、適切な対策を行わない場合、プレス後に大きな反りが発生し、SMT実装工程に進めないケースもあります。

PCBGOGOでは、ある産業用インバータPCBの積層設計において、非対称構造を採用しました。トップ層に2OZの厚銅放熱層を配置し、その下に信号層、GND層、電源層を積層し、ボトム層は1OZの信号層としています。応力不均衡を解消するため、シミュレーション解析を用いてPP厚を領域ごとに最適化し、厚銅層側には高弾性率のPP材料を追加しました。さらに、プレス条件(温度プロファイル、加圧条件)を最適化することで、反りを許容範囲内に抑え、高い放熱性能を求められる用途要件を満たしました。

実際の構造選定においては、次の3つの原則が重要です。第一に、平坦性要求が高く、層数が偶数の製品では、対称積層構造を優先すること。第二に、片面厚銅や局所的な埋め込み-ブラインドビアなど特殊要件がある場合は、非対称構造を検討しつつ、十分な応力補償設計を行うこと。第三に、コスト面では、対称構造の方が製造難易度が低く、歩留まりが高いため、量産時のコスト削減につながりやすい点を考慮する必要があります。

PCBGOGOは、高度なシミュレーション解析能力と豊富な製造ノウハウを活かし、お客様の製品仕様に応じた最適な積層構造を迅速に提案します。PCB積層設計において、対称構造と非対称構造に絶対的な優劣はなく、重要なのは用途に最も適した選定戦略を採用することです。


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