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多層基板における銅バランスとコスト/性能の最適解

8 0 Dec 15.2025, 10:29:06

無駄なコストをかけずに品質を高める設計ノウハウ

「銅バランスを取るとコストが上がるのではないか」
「銅バランスを重視すると電気性能に悪影響が出るのではないか」

こうした疑問を持つエンジニアは少なくありません。しかし実際には、適切な銅バランス設計はコストを増やすどころか削減につながり、性能や信頼性の向上にも貢献します。本記事では、銅バランス、コスト、性能の三者を同時に満たす考え方と実践ポイントを解説します。

一、まず理解すべきこと

銅バランス対策はコスト増ではない

補銅を行うと銅箔使用量が増え、コストが上がると考えられがちですが、実際は次の通りです。

補銅によって増える銅箔量は非常にわずかです。例えば100mm×100mmの6層基板の場合、補銅による銅面積の増加は通常5パーセント未満であり、1枚あたりのコストへの影響はほぼ無視できるレベルです。

一方で、銅バランス不良による反りや層間剥離は、再加工率が30パーセントに達するケースもあります。再加工1回あたりのコストは、補銅コストの10倍以上になることも珍しくありません。

PCBGOGOでは、コスト削減を優先して銅バランス設計を省略した結果、初回ロット1000枚の8層基板で反り不良率が28パーセントに達し、再加工損失が20000元以上発生した事例がありました。その後、銅バランスを最適化したことで不良率は0.5パーセントまで低下し、結果的に大幅なコスト削減につながりました。

さらに、適切な銅分布はパネルレイアウトの最適化にも寄与します。配置効率が向上することで、同じ基材からより多くの基板を取り出すことができ、単価低減にも効果があります。

二、銅バランスと性能

対立ではなく相互強化の関係

銅バランスが高周波特性や放熱性能に悪影響を与えると懸念されることがありますが、設計手法を工夫すれば性能はむしろ向上します。

高周波信号に対しては、ソリッド銅ではなくメッシュ状の銅配置を用いることで、銅面積を確保しつつ寄生容量や寄生インダクタンスを抑制できます。5G機器向け8層基板では、メッシュ補銅を採用することで信号クロストークが約20パーセント低減した実績があります。

放熱面でも、銅分布が均一であるほど熱が分散されやすく、局所的なホットスポットを防止できます。PCBGOGOの評価では、銅バランス設計を行った多層基板は、未対策基板と比較して放熱効率が15から20パーセント向上しました。

機械的信頼性の面でも、銅バランスは重要です。反りや層間応力が抑制されることで、振動や高温環境で使用される車載電子機器や産業機器では、製品寿命が30パーセント以上向上するケースもあります。

逆に銅バランスが悪いと、インピーダンスばらつきが±6パーセントを超え、信号伝送速度の低下を招くことがあります。実際にサーバーマザーボードで再設計を余儀なくされ、開発スケジュールに大きな影響が出た事例もあります。

三、銅バランス-コスト-性能を両立する3つの実践ポイント

1. 設計段階で最小コストの銅バランスを実現する

補銅は新たな広面積銅を追加するのではなく、既存の電源層やGND層の銅パターンを不足エリアに拡張する方法が効果的です。
銅面積差が8パーセント程度であれば、過度な調整は不要で、10パーセント以内に収めることで設計工数を削減できます。
Altium DesignerなどのEDAツールに搭載されている自動補銅機能を活用すれば、設定条件に基づいて効率的にメッシュ補銅が行えます。

2. 用途に応じた基材選定

一般的な民生機器や小型家電では、標準的なFR-4基材で十分な性能とコストバランスが得られます。
一方、5G機器や車載電子機器など高周波や高温環境で使用される製品では、高TGかつ低損失の基材が有効です。例えばSHENGYIS1130やRogers RO4350Bなどは熱安定性に優れ、銅不均衡による応力影響を低減できます。材料単価は高くなりますが、長期信頼性の向上によりトータルコストを抑えられます。

PCBGOGOでは、製品用途に応じて最適な基材と銅バランス設計を提案し、無駄なコストをかけずに性能要求を満たします。

3. 製造工程の標準化によるコスト抑制

銅バランスが適切であれば、特別な圧着条件や追加加熱などの工程調整が不要になり、エネルギー消費と生産時間を削減できます。
量産時には、PCBGOGOのインテリジェントパネル設計により、材料利用率を高めながら、パネル内すべての基板で銅バランスを均一に保つことが可能です。

四、まとめ

多層PCBの銅バランスは、コストと性能のどちらかを選ぶ問題ではありません。科学的な設計と工程管理によって、両立が可能な実践課題です。適切な銅バランス設計は再加工リスクを低減し、電気性能、放熱性、機械的信頼性を同時に向上させます。

PCBGOGOでは、豊富な製造実績とDFMノウハウを基に、お客様のプロジェクト条件に合わせた最適な銅バランスソリューションを提供しています。コストを抑えながら品質を高めたい場合は、ぜひPCBGOGO技術チームへご相談ください。


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