よくあるSMT基板実装不良10選と防止方法
表面実装技術(SMT)は、電子部品をプリント基板(PCB)上に直接実装する標準的な工法です。しかし、高密度実装や微細部品の増加に伴い、SMT工程にはさまざまな不良が発生しやすく、品質、信頼性、コストに大きく影響します。これらの一般的な不具合を理解し、事前に対策を講じることは、高い歩留まりの確保や製品の安定稼働に必須です。

本記事では、SMT基板組立において最も頻出する10種類の不良と、その原因、予防のポイントを解説します。
1. ブリッジ(はんだ短絡)
隣接するパッドや端子が意図せずはんだで接続され、短絡が発生した状態です。はんだペースト量の過多、部品位置ズレ、リフロー温度プロファイルの不適合などが原因です。最適なステンシル設計と正確な部品搭載、適切なリフロープロファイル設定が有効です。
2. オープン(はんだ不足)
端子やパッドが十分にはんだと濡れず、電気的な接続が成立しない不良です。ペースト量不足、部品浮き(立ち)、濡れ性不良が原因となります。ステンシル開口と印刷位置精度を確認し、パッドの清浄度を確保します。
3. はんだボール
はんだ付近に微細な球状はんだが散在する現象で、短絡や外観不良につながります。はんだペーストや基板への水分付着、リフロー加熱の急激な立ち上がりが主な要因です。冷蔵保管、プリヒート制御、適切な揮発管理が必要です。
4. マンハッタン現象(トゥームストーン)
チップ部品がリフロー中に片側が立ち上がり、墓石状になる現象です。パッド間の加熱差、はんだ量の不均衡が原因です。対称パッド設計、均一なはんだ印刷が防止策です。
5. 部品位置ずれ
部品がパッドからずれたり回転した状態で実装される不良です。ピック&プレース機のキャリブレーション不良、印刷位置ズレ、搬送振動などが原因です。定期的な設備校正とAOI検査が有効です。
6. ボイド(空洞)
はんだ内部に空隙やガスが残留し、導通不良や機械強度低下を招きます。助剤の揮発不良、水分、排気不足などが原因です。適正なリフロー上昇温度設定とMSL部品の乾燥処理を徹底します。
7. リード浮き
QFPなど細ピッチ部品のリードが基板に接触せず、はんだ接合が形成されない状態です。リードの曲がり、過度な押し付けが原因です。取扱い時の注意とZ軸圧力の適正設定が必要です。
8. 不濡れ-脱濡れ
はんだが端子やパッドに濡れずに球状化したり、濡れた後に後退して薄い膜を残す現象です。酸化、油分、埃などの汚染、劣化したフラックスが主な原因です。基板清掃と新鮮なはんだペースト使用が解決策です。
9. 部品の回転ずれ
搭載はされているものの、部品が大きく回転し、短絡やオープンの原因となります。ピック精度不足や搬送時の移動が要因です。ビジョンシステムの精度向上と貼付後の事前検査が有効です。
10. 部品破損
積層セラミックコンデンサの割れ、ICのパッケージ破損など、物理的ダメージが発生する不良です。Z圧過大、急激な熱衝撃が主な原因です。搭載圧の低減、適切なプリヒート工程が有効です。
不良ゼロを実現するためのSMT実装戦略
高品質な実装には、工程全体を制御する「プロセスアプローチ」が欠かせません。特に次の3点は効果が高い対策です。
1. 工程管理と最適化
はんだ印刷工程は不良の約70%を占め、最重要工程です。3Dはんだ印刷検査(SPI)で印刷量と位置を確認し、最適なリフロープロファイルを設定することで安定した接合が可能になります。
2. マテリアル管理
湿度感受性レベル(MSL)に従った部品管理、高品質な部品-基板の採用、乾燥保管の徹底が信頼性向上に直結します。必要に応じて部品のベーキングを実施します。
3. 検査とフィードバック
実装後とリフロー後に自動光学検査(AOI)を導入し、SPIデータと組み合わせて工程改善のフィードバックループを作ることが最も効果的です。データに基づき即時に設備条件を修正することで、継続的な歩留まり改善につながります。
高歩留まり-高信頼性実装への道
SMT実装の良否は偶然ではなく、精密な工程管理、適切な設備、厳格な品質検査の積み重ねです。はんだ印刷からリフロー温度制御まで、各工程の最適化により10大不良を大幅に低減できます。
PCBGOGOでは、先端設備と熟練エンジニアにより、SPI-AOIを中心とした品質管理システムを構築し、設計から量産まで一貫支援する実装サービスを提供しています。精度の高い製造パートナーを選ぶことで、再工やコスト増加のリスクを最小限に抑え、設計を確実に製品として実現できます。
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