1. はじめに
フレキシブルPCBが分層した場合、盲目的に返修を行うと二次損傷を引き起こすリスクが高く、返修成功率は30%未満となることがあります。さらに、再作業コストが50%増加するケースも報告されています。ある消費電子メーカーでは、分層検査の精度不足により、修復可能な10万枚のフレキシブルPCBを直接廃棄し、600万円以上の損失が発生しました。
フレキシブルPCBの分層検査と返修は、IPC-7711/7721(プリント基板返修規格)に準拠し、分層位置と程度を正確に特定した上で、適切な修復工法を選択することが重要です。PCBGOGOのフレキシブル基板返修チームは20名体制で累計50万枚以上の分層PCBを返修しており、返修成功率は92%を達成しています。本記事では、分層検査手法、返修工法、品質確認のポイントを詳しく解説し、企業の再作業コスト削減に貢献します。

2. 核心技術の解析
フレキシブル基板の分層検査と返修の最大の課題は、「柔軟材料は損傷しやすく、非破壊で正確に検査-修復する必要がある」という点です。このため、IPC-TM-650 2.4.32(分層検査規格)に準拠した二つの核心技術が求められます。
まず分層検査技術です。分層は表面分層(目視で確認可能な気泡)と内部分層(目視不可で隠蔽性が高い)に区分されます。表面分層は光学検査で対応可能で、倍率10倍で観察し、気泡直径が0.2mm以上であれば分層と判定します。内部分層は超音波スキャンで検査し、周波数15MHz~25MHzで分層位置(精度±0.1mm)と面積を特定します。PCBGOGOのデータでは、超音波検査による内部分層の識別率は99%に達し、手作業の60%を大きく上回ります。
次に分層返修技術です。分層面積に応じた適切な工法を選択します。小面積分層(5mm2以下)は局所注入型接着剤修復(3M 9473PC、120℃で硬化)が適しています。大面積分層(5mm2以上)は剥離-再貼付工法が推奨され、レーザー除去で旧接着剤を取り除き、基材変形を避けるため、基材のTgの80%以下の温度で返修します(例:PI基材Tg=280℃の場合、返修温度≤224℃)。
主要設備として、PCBGOGOでは米国Sonoscan D950超音波スキャナー(分解能0.01mm)とKEYENCE VHX-7000光学顕微鏡を用いた検査、返修には日本FANUCのレーザー除去装置(出力調整可能)を採用し、検査精度と返修安全性を確保しています。
3. 実践的な返修プロセス
3.1 分層検査のステップ
外観検査
KEYENCE VHX-7000光学顕微鏡で倍率10倍に拡大し、基板表面の気泡位置と直径を記録します。気泡直径0.2mm以上は分層と判定し、表面分層率1%以下は軽度、5%以上は重度の問題として扱います。超音波スキャン
外観で合格または内部分層の疑いがあるPCBに対して、Sonoscan D950を用いて周波数20MHzでスキャン。分層面積0.1mm2以上を閾値としてマークし、分層位置のヒートマップを作成します。分層の分類
分層面積と位置により分類します。軽度は5mm2以下かつ曲げ部にない場合、返修可能。中度は5mm2~20mm2で返修価値を評価。重度は20mm2以上または曲げ部にある場合、IPC-7711第3.2条に従い廃棄推奨。報告書作成
分層位置座標、面積、分類結果、返修推奨を含む検査報告書を出力し、返修作業の根拠とします。
3.2 分層返修工法
小面積返修(5mm2以下)
清掃:分層部をイソプロピルアルコールで脱脂。
注入:JPE-Dispense 500点胶機で3M 9473PC接着剤を注入し、分層部を満たす。
硬化:120℃で30分熱風硬化(JPE-HG-300使用、温度偏差±5℃)。
検査:超音波で分層消失を確認、剥離強度0.8N/mm以上。
大面積返修(5mm2~20mm2)
除去:FANUCレーザー除去装置(出力5W、速度10mm/s)で旧接着剤を剥離、基材厚さ損失0.01mm以下。
再貼付:新接着剤(3M 9495LEなど)で貼合、熱圧条件は原標準通り(240℃/30分、0.8MPa)。
検証:曲げテスト100回(角度90°)および湿熱試験(50℃/85%RH、500h)で分層なしを確認。
品質管理:返修後全数超音波検査、成功率90%以上を確保。不合格は再評価または廃棄。
フレキシブルPCBの分層検査と返修のポイントは「正確な検査」と「適切な工法選択」にあります。PCBGOGOでは、分層検査装置レンタル、返修工法研修、現場サポートを含む一体型サービスを提供し、企業の返修効率と成功率向上を支援しています。