
電動化が加速する新エネルギー車(NEV)市場では、航続距離の向上とともに高電圧システム(300V?800V)が主流となっています。バッテリーマネジメントシステム(BMS)、モーターコントローラー、オンボードチャージャー(OBC)といった主要部品は、すべて高電圧基板を介して電力伝送と信号制御を行います。しかし従来の低電圧PCB(12V?48V)と異なり、高電圧PCBは「耐高圧絶縁」と「高出力放熱」という2つの大きな課題に直面します。絶縁性能が不足すればトラッキングや絶縁破壊のリスクが高まり、放熱設計が不十分であればPCB温度が125℃を超え、部品の早期劣化や火災の危険につながります。実際、業界統計によれば新エネルギー車の高電圧系統における故障の約30%は、基板の絶縁または放熱設計不良に起因しています。
高電圧PCBにおける絶縁設計のポイント
安全性の基盤となるのは絶縁設計です。まず基材選定においては、車載グレードの高耐圧FR-4を採用する必要があります。この基材は絶縁破壊電圧が40kV/mm以上(一般的な低電圧用は25kV/mm程度)、体積抵抗率は10^14Ω.cm以上を満たすことで、高電圧下でも漏電を防止します。
構造設計においては、国際規格IEC 60664-1に準拠した「沿面距離」と「空間距離」の確保が不可欠です。たとえば800Vシステムでは、沿面距離は最低5mm(低電圧では0.2mm程度)、空間距離は4mm以上を確保しなければなりません。また、高電圧回路と低電圧信号回路を分離配置し、幅3mm以上の絶縁スペースを設けることが推奨されます。あるメーカーのOBC基板では、初期設計で沿面距離が3mmしかなく、高圧試験で表面放電が発生しましたが、設計変更により沿面距離を5.5mmに拡大し、高耐圧基材を採用した結果、4000V/1分間の耐圧試験に合格しています。
高出力放熱設計の技術アプローチ
新エネルギー車の高電圧システムは、50W/cm3を超える高い電力密度に対応しなければならず、PCB自体の放熱設計が非常に重要となります。銅箔厚を2?6ozに増やすことで(一般的な低電圧PCBは1oz)、導熱率401W/m.Kの銅が基材の熱を効率的に拡散します。さらにPCB内部に大面積の放熱銅箔(占有率70%以上)を配置し、内部放熱チャネルとして活用することが効果的です。ある自動車メーカーのBMS基板では、6oz銅箔と内部放熱銅箔設計を採用することで、動作温度を130℃から95℃まで低減し、部品寿命を50%延長しました。
また、金属基板(アルミ基板や銅基板)を導入する方法も有効です。金属基板の熱伝導率は200W/m.K以上と高く、これに0.1mm厚のセラミック絶縁層(熱伝導率10W/m.K)を組み合わせることで、FR-4基板に比べて放熱性能を3倍以上改善できます。特にモーターコントローラーなど高出力が求められる用途に最適です。
高電圧PCBの試験-検証プロセス
高電圧PCBは設計だけでなく、厳格な試験検証が欠かせません。絶縁試験では「耐圧試験」(定格電圧の1.5倍を1分間印加して絶縁破壊がないこと)、「絶縁抵抗試験」(常温で10^8Ω以上、高温高湿環境で10^6Ω以上)を行います。放熱試験では、実際の負荷条件で赤外線サーモグラフィを用いて温度分布を測定し、ホットスポットが基材Tg値の80%を超えないことを確認します。あるTier1サプライヤーのモーターコントローラーPCBは、4800V/1分間の耐圧試験と128℃のホットスポット評価に合格し、800V高電圧システムでの安定稼働を実証しました。
PCBGOGOの高電圧PCBソリューション
高電圧PCBは低電圧基板に比べ技術的ハードルが高く、絶縁性と放熱性の両立が求められます。PCBGOGOでは、絶縁破壊電圧40kV/mm以上の車載グレードFR-4基材を採用し、2?6oz銅箔加工(銅厚均一性±5%)やアルミ/銅基板のカスタム対応が可能です。さらに5mm以上の沿面距離設計に対応し、赤外線熱画像による放熱性能検証を実施。すべての製品はIATF16949認証およびIEC 60664-1に準拠し、量産良率は99.7%以上を維持しています。すでにBMS、モーターコントローラー、OBCなど多くの高電圧部品向けにPCBソリューションを提供し、300V?800V全電圧プラットフォームに対応しています。