なぜPCBでは50Ωインピーダンスが標準なのか?
PCB設計において言う「インピーダンス」とは、主に伝送線路の特性インピーダンスを指します。これは、電磁波が導体上を伝搬する際に示す固有のインピーダンスであり、配線の形状、基材の誘電特性、周囲環境などによって決まります。
高速デジタル信号やRF回路において、50Ωは最も一般的に採用されているインピーダンス値です。では、なぜ50Ωなのでしょうか。30Ωや80Ωではいけないのでしょうか。50Ωが事実上の標準となった背景には、歴史、PCB製造技術、回路設計、コストといった複数の要因が関係しています。

50Ωは最大電力伝送を実現できる
PCB設計の観点では、50Ωの条件下で信号は最大効率で電力を伝送でき、減衰や反射を最小限に抑えることができます。無線通信分野においても、アンテナの入力インピーダンスとして50Ωが最も一般的に使用されています。
一般的に、インピーダンスが低いほど配線性能は良好になり、同じ線幅であればリファレンスプレーンとの距離が近いほどEMIやクロストークも低減されます。しかし、インピーダンスを下げすぎると、重要な問題が生じます。それがICのドライブ能力です。
初期の多くのICは50Ω未満の低インピーダンス伝送線路を十分に駆動できず、一方で高インピーダンスは実現が難しく、性能面でも不利でした。そのため、性能と実現性のバランス点として50Ωが最適解となったのです。
50Ωはインピーダンス整合が容易
PCB設計では、信号反射やノイズを抑制するためにインピーダンス整合が重要です。スタックアップ、基材、層構成、板厚などの条件をもとにインピーダンス計算を行いますが、50Ωは電子工学分野で広く使われているため、設計ノウハウや計算モデルが豊富に蓄積されています。
その結果、50Ωは整合設計がしやすく、信号反射や干渉を抑えやすいインピーダンス値となっています。
50ΩはPCB製造が容易
PCB製造プロセスの観点から見ても、50Ωインピーダンスは非常に作りやすい条件です。極端に低いインピーダンスでは、非常に太い配線や薄い誘電層、高誘電率材料が必要となり、高密度基板では実現が困難です。
一方、インピーダンスが高すぎると、非常に細い配線や厚い誘電層、低誘電率材料が必要となり、EMIやクロストーク抑制が難しくなり、量産時の加工信頼性も低下します。
50Ωであれば、FR-4などの一般的な基材、標準的なコア材、1mmや1.2mmといった汎用板厚を用い、4?10mil程度の一般的な線幅で設計できます。そのため、多くの基板メーカーで安定した量産が可能です。
50Ωは機器間の互換性が高い
多くの業界標準、基板、コネクタ、ケーブルは50Ωを前提に設計されています。そのため、50Ωを採用することで、機器間の互換性が向上し、システム全体の設計や接続が容易になります。
50Ωは製造コストを抑えやすい
信号性能と製造コストのバランスを考えた場合、50Ωは非常に経済的で実用的な選択肢です。特殊材料や特殊工法を必要とせず、安定した品質で量産できる点が大きなメリットです。
まとめ
50Ωインピーダンスは、安定した伝送特性、低い信号歪み、高い実装-製造適性といった多くの利点を持ち、高速データ通信、RF回路、さらには一部の映像信号分野など、幅広い用途で採用されています。
ただし、50Ωは万能ではありません。RF用途など、特定の条件下では別のインピーダンス値が求められる場合もあります。実際の設計では、用途や性能要求に応じて最適なインピーダンスを選定することが重要です。
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