現代のプリント基板(PCB)に並ぶ微細で精密な部品配置。その裏側で重要な役割を担っているのが SMTステンシル です。
このステンシルは、SMT実装において不可欠な「はんだペースト」を正確な位置へ、一定量で転写するための基盤技術となります。

1. SMTステンシルとは?PCB実装における重要性
SMTステンシルとは、ステンレス製の薄い金属シートで、PCB上のランド形状に対応した微細で正確な開口が加工されています。
ステンシルの主な役割は、適切な量のはんだペーストをPCBのランドへ均一に転写することです。
なぜそれほど重要なのでしょうか?
精度:必要な場所にのみ、正確な量のはんだペーストを塗布できます。
一貫性:大量生産でも毎枚同じ品質のペースト転写が可能です。
効率:手作業では不可能な速度と安定した品質を確保できます。
高品質のSMTステンシルがなければ、安定したリフロー品質や信頼性の高い接合を実現することは困難です。
2. SMTステンシルの種類:レーザー加工ステンシルの特徴
SMTステンシルは、製造方法 と 取り付け方式 により分類されます。
● 製造方法の種類
化学エッチングステンシル
酸による腐食で開口を形成します。コストは低いものの、精度や壁面品質は限定的です。
レーザー加工ステンシル(推奨)
現在の業界標準であり、最も高精度な製造方法です。
レーザーにより開口を直接切り出すため:
滑らかな開口壁面
高い寸法精度
微細ピッチ?BGAへの最適化
PCBGOGOを含む多くのメーカーが、高密度SMT向けにレーザー加工ステンシルを採用しています。
電鋳ステンシル(Electroforming)
ニッケル基の電鋳により製造され、最も滑らかな開口壁を実現します。
超微細ピッチに最適ですが、コストは高めです。
● 取り付け方式の種類
フレーム付きステンシル
金属フレームに恒久的に張られたタイプで、自動印刷機によく使用されます。大量生産向けです。
フレームレスステンシル
保管性が良く、交換式フレームに取り付けて使用します。
試作-小ロット製造に最適です。
3. SMTステンシルの仕組み
SMTステンシルの印刷工程の流れは次の通りです:
位置合わせ
ステンシルとPCBを基準マークで精密に合わせます。はんだペースト供給
ステンシル上端にペーストを置きます。スキージ印刷
スキージがステンシル上を移動し、ペーストを開口へ押し込みます。ステンシル分離
ステンシルを持ち上げると、ランド上に正確なはんだパターンが残ります。
その後、部品実装 → リフロー工程に進み、確実な接合が形成されます。
4. SMTステンシル選定ガイド(材質と厚さ)
最適なステンシル選びは、生産量-設計難易度-コストによって異なります。
● 選定比較表
| 要素 | 小ロット / 試作 | 大量生産 |
|---|---|---|
| ステンシル形式 | フレームレス | フレーム付き |
| 製造方法 | レーザー加工(推奨) | レーザー加工(標準) |
| 材質 | ステンレス | ステンレス / 電鋳 |
| 厚さ | 0.12--0.15mm | 部品ピッチに応じて最適化 |
プロのアドバイス
0.5mm以下の微細ピッチやBGAを使用する場合は、
電解研磨(Electropolish)を施したレーザー加工ステンシル が必須です。
開口壁が滑らかになることで、ペースト離型性が大幅に向上します。
まとめ
SMTステンシルは、単なる金属板ではありません。
高密度実装を支える精密転写技術そのもの であり、はんだ印刷品質は基板の良率を左右します。
精度の高いレーザー加工ステンシル
設計に応じた最適な厚み選定
信頼できる製造パートナーの選択
これらは、高品質なPCB実装を実現するための必須要素です。
PCBGOGOでは、PCBAサービスに加えて、高精度レーザーステンシルの製造にも対応しており、複雑な高密度設計でも高い再現性と安定品質を提供します。