1. はじめに
スマートグラスのテンプル幅は8mmから12mmで無線電源PCBには10mm×30mm以下の空間でコイル充電ICフィルタ回路をすべて集約する必要があります。基板サイズが規格を超えることで開発案件の35パーセントが遅延するといわれています。あるメーカーでは初期設計の無線電源PCBが12mm×35mmとなり10mm幅のテンプルに収まらずプロジェクトが2か月停滞し開発コストは180万円増加しました。
小型化無線電源PCB開発では「空間圧縮」と「機能確保」を両立し充電効率と信頼性を維持することが求められます。PCBGOGOは高密度PCB分野で9年の実績がありスマートグラス用無線電源PCBを累計300万枚納入し最小サイズは8mm×25mmを達成しています。本稿では小型化設計の課題集成方法加工基準を解説し空間制約の突破に役立つ情報を紹介します。

2. 技術の核心
スマートグラス無線電源基板の小型化にはIPC 2226(高密度プリント基板設計標準)5.3条に規定される微小化設計要件への適合が必要です。基板が規格を超える原因は主に三つあります。
一つ目はコイルと回路の分離設計です。従来設計ではコイルがPCB面積の約60パーセント充電IC回路が40パーセントを占めそれぞれ別配置されるため面積が大きくなります。PCBGOGOの設計データではコイルと回路の重ね合わせ配置によって面積を30パーセント削減できます。
二つ目は積層設計の不足です。単層PCBでは部品密度要件を満たせません。4層積層(信号層 コイル層 接地層 電源層)を採用すると単層に比べ面積を45パーセント削減できますが層間厚みは0.8mm以下(スマートグラス用PCB全厚1.2mm以下)に制御する必要があります。
三つ目は部品選定の問題です。0603サイズ部品(2.0mm×1.2mm)は0402サイズ(1.0mm×0.5mm)より面積が3倍大きくGB T 15139(プリント基板用語)3.5条に適合しません。さらに小型無線電源PCBでは配線幅0.15mm配線間隔0.1mm以下が必要でIPC A 600G Class 3ではエッチング精度を±0.01mmに抑えることが求められます。PCBGOGOの評価では間隔0.1mm時にエッチング誤差が0.02mmを超えると30パーセントのPCBで短絡が発生する結果が得られています。
3. 実務的な設計方法
3.1 小型化設計の五つのポイント
集成レイアウト
一 内径5mm9ターンのコイルと0.8mm×0.8mmの充電IC(Dialog DA9313)を重ねて配置しコイル下に0.2mmの空間を確保してICを配置します。PCBGOGO DFM審査システムJPE DFM 6.0で部品間隔0.1mm以上を確認します。
二 0402サイズの0.1μFフィルタコンデンサをコイルの隙間に実装し基板利用率を40パーセント向上させます。
積層設計
4層構成を採用します。
一 トップ層 信号層で充電IC回路を配置し配線幅0.15mm配線間隔0.1mm
二 第二層 コイル層で無線充電コイルを配置し配線幅0.2mm
三 第三層 接地層で全面グランドを形成しEMC干渉を抑制
四 最下層 電源層で給電ラインを配置し層間厚0.2mm合計厚0.8mmに設定します。IPC 2221 5.3条を参照しPCBGOGO積層設計ソフトJPE Layer 4.0で設計案を生成します。
部品選定
一 充電ICは0.8mm×0.8mmのWLCSPパッケージを採用しQFNに比べ50パーセント小型化
二 コンデンサとインダクタは0402サイズ耐圧10V以上
三 コイルはPCB一体型を採用し分離型より60パーセント小型化
ビア最適化
トップ層から第二層のブラインドビア第二層から第三層のベリードビアを採用しビア径0.2mmパッド径0.4mmとします。IPC 6012(プリント基板性能規格)6.4条ではビア導通率99.9パーセント以上が要求されます。
エッジ活用
PCBの端部0.3mm領域に0402コンデンサを配置し面積をさらに圧縮します。部品間隔0.2mm以上を確保し実装干渉を回避します。
3.2 量産時のプロセス管理
エッチング精度
レーザーダイレクトイメージング(LDI)工法を採用し配線幅公差±0.01mm配線間隔誤差0.005mm以下に制御します。1ロット50枚を抜き取り検査し不良率0.5パーセント以下を維持します。
積層圧着
層間位置ずれ0.05mm以下をX線位置決め装置JPE XR 900で監視し圧着温度180℃±5℃圧力25kg/cm2とします。積層接着強度1.5N/mm以上をIPC TM 650 2.4.8で確認します。
実装精度
高精度マウンタ SMT 800を使用し貼付精度±0.02mmで0402部品の実装良率99.8パーセント以上を確保し位置ずれによる短絡を防止します。
まとめ
スマートグラス無線電源PCBの小型化では集成レイアウト多層積層微小部品精密加工を軸に空間と性能のバランスを図ることが不可欠です。PCBGOGOは高密度PCBのカスタムサービスを提供しLDI工法による細線幅管理ブラインドビアとベリードビアでの空間削減DFM事前審査による配置リスク回避さらに積層強度と充電効率の全項目試験に対応可能です。製品開発の小型化課題解決に貢献し高い信頼性を備えたスマートグラス製品の実現を支援します。