リフローはんだ工程でPCBの反りを防止する方法とは?
プリント基板(PCB)は、すべての電子機器における基礎構造であり、電気的なキャリアとして重要な役割を果たします。建築物における基礎と同様に、PCBの構造的完全性は製品全体の品質を左右します。表面実装技術(SMT)における大きな課題の一つが、リフロー炉内の高温環境下でPCBの寸法安定性を維持することです。PCBの反り(ワーピング)とは、基板が不均一に変形し、曲がりやねじれが発生する現象を指します。この欠陥は、部品実装精度、はんだ接合の信頼性、さらには最終的なPCBAの機能性に深刻な影響を与えます。PCB反りの原因と対策を正しく理解することは、高い歩留まりを実現するために不可欠です。

PCB反りが発生する根本原因
PCBの反りは、熱応力、材料特性、製造プロセスなど複数の要因が複雑に相互作用することで発生します。最大の要因は、積層材料内に存在する銅層、プリプレグ(樹脂)、ガラス繊維基材の間で熱膨張係数(CTE)が一致していないことです。
リフローはんだ工程では、炉内温度が通常240℃以上に達します。この高温環境下では、CTEの不一致によって内部応力が発生し、基板の湾曲やねじれを引き起こします。
PCB反りを抑制するための主要対策
PCBの反り防止には、材料選定から組立工程中の取り扱い、プロセス管理に至るまで、一貫した総合的アプローチが必要です。
1. 事前ベーキングと吸湿管理
PCBは吸湿性を持つ材料であり、周囲の空気中の水分を徐々に吸収します。開封後に24時間以上環境下に放置されたPCBでは、内部に取り込まれた水分がリフロー工程の高温で急激に水蒸気へと変化します。
この内部圧力は、層間剥離や基板の膨張変形を引き起こし、結果として反りの原因となります。
このリスクを回避するため、未封止または露出状態のPCBは、SMT実装前に必ずベーキング処理(除湿)を行う必要があります。ベーキング条件は基板厚みや露出時間により異なりますが、一般的には低温で一定時間加熱し、内部水分を除去します。これにより、吸湿による膨張、クラック、反りの発生を効果的に抑制できます。
2. 高Tg材料の採用
積層材料のガラス転移温度(Tg)とは、樹脂が硬いガラス状態から柔らかいゴム状態へ移行する温度を指します。標準Tg材料は耐熱性が限定的であり、リフロー工程中に炉温がTgを超えると、基板は急激に軟化します。
その結果、自重や内部応力の影響を受けやすくなり、変形や反りが発生しやすくなります。
多層基板や両面実装など、複数回のリフロー工程を必要とする設計では、高Tg材料の使用が不可欠です。高Tg材料は高温下でも剛性と熱安定性を維持できるため、PCB反りのリスクを大幅に低減します。
3. 基板厚みと構造設計の最適化
薄型PCBは構造的な剛性が低く、大型サイズの場合、加熱時に内部熱応力を支えきれず、たわみやねじれが顕著になります。
特に重量のある部品を搭載する設計では、基板の機械的支持力不足が反りを助長します。
この対策として、基板全体の厚みを増やすことで剛性を高めることが有効です。また、各層の銅分布を可能な限り均等に設計することで、熱応力のバランスが取れ、反りの発生を抑制できます。これはDFMにおける重要な設計原則の一つです。
4. パネル設計と応力管理
複数の小型基板を1枚のパネルにまとめて実装する場合、パネルサイズが大きくなることで重量と表面積が増加し、全体のたわみが発生しやすくなります。また、配線や部品配置による応力分布の偏りも、反りを悪化させる要因となります。
この問題に対しては、パネル内の基板枚数を減らし、パネルサイズを最適化することが有効です。さらに重要な対策として、SMT用キャリア(リフロートレイ)の使用が強く推奨されます。
キャリアは基板外形に合わせて設計されており、搬送中およびリフロー工程中に基板をしっかり支持することで、高温下や重力による反りを効果的に防止します。
PCBGOGOにおけるPCB反り防止への取り組み
PCB反りの防止は、事前ベーキングによる湿度管理、高Tg材料の選定、機械的剛性を考慮した設計、そしてリフロー工程での適切な治具使用など、複数の対策を組み合わせた総合的な取り組みが必要です。
この欠陥を抑制することは、高歩留まりの実現と製品の長期信頼性確保に直結します。
PCBGOGOでは、すべてのPCBAプロジェクトにおいて寸法安定性を最優先事項として管理しています。当社は、実装前のベーキング工程を厳格に遵守するとともに、高Tg材料を含む多様な高性能積層材料をご提供し、用途に応じた最適な熱特性を実現します。
さらに、大型基板や薄型PCBに対しては、専用設計のリフローキャリアを使用し、高温サイクル中でも優れた平面安定性を確保しています。
高品質なPCBおよびPCBAをお求めの際は、ぜひPCBGOGOまでお問い合わせください。