回流前AOIと回流後AOIの最終ガイド 違いと役割
部品実装密度の増加やゼロディフェクト要求の高まりにより、自動光学検査(AOI検査)は現代SMT実装に欠かせない工程となっています。特にRFモジュールの需要拡大や金属シールドの使用増加に伴い、SMTメーカーは回流前AOIと回流後AOIの両方を導入し、PCBA品質の安定性を確保しています。どちらも光学画像の取得と比較アルゴリズムを利用しますが、その目的や検査能力、工程内で果たす役割は大きく異なります。
本稿ではAOIの各工程での役割と必要性をわかりやすく解説し、最適なAOI戦略が生産歩留まり向上とリワーク低減にどのように貢献するかを詳しく紹介します。

回流前AOIと回流後AOIの違い
回流前AOIは主に部品実装の品質を確認するための検査であり、回流後AOIははんだ付け品質を確認するための検査です。
回流前AOIでは部品の有無や位置ずれ、極性違いなど、実装関連の不良を回流前の段階で発見できます。一方、回流後AOIは回流炉通過後に発生するはんだ不良や接合品質を検査し、実装工程の最終的な品質保証を行います。
また、金属シールドや大型コネクタによって視野が遮られる領域は、回流後AOIでは確認できません。回流前AOIを導入することで、シールド取り付け前にこれらのエリアを確実に検査でき、検査の盲点を解消できます。
回流後AOI検査が重要である理由
回流後AOIはSMT実装で最も一般的な検査工程です。PCBが回流炉を出た直後に、はんだ接合品質に関する不良を検出します。これにより、品質問題が後工程や最終製品組立へ流出することを防ぐことができます。
回流後AOIの主な検査項目
回流後AOIは次のような不良を検出します。
部品の欠品
立ち上がり不良(立碑)
部品の傾きや回転
値違いまたは極性逆接
ピンの浮きや変形
ブリッジ
はんだ量不足または過多
冷はんだやオープン(疑似はんだの検出は限定的)
回流後に不良が発生した場合、リワークには加熱や再はんだ、部品交換が必要です。修理時間が増加するだけでなく、高密度多層基板の場合は基板損傷や廃棄につながるリスクも高まります。
そのため、回流前の段階で不良を未然に防ぐことが非常に重要になります。
回流前AOIの役割と目的
RFモジュールや金属シールドの採用拡大に伴い、回流前AOIの重要性は年々高まっています。回流前AOIの主な目的は、回流前に実装不良を確実に検出することです。
1. 実装不良を回流前に検出する
回流前AOIは次のような実装関連の不良を早期に発見できます。
部品欠品
部品の位置ずれや回転
ピックアップミス
極性逆接
フィーダーの給送不良
この段階ではんだ付けが行われていないため、不良部品はすぐに修正可能で、加熱やリワークの必要もありません。その結果、修理コストを大幅に削減できます。
2. 回流後にシールドで隠れる領域を検査
RFモジュールでは次の部品が一般的に視野を遮ります。
金属シールド
大型コネクタ
機構部品
回流後AOIではこれらに隠れた領域を確認できませんが、回流前AOIならシールド取り付け前に全面検査が可能です。これにより、検査不能領域をなくし、品質リスクを大幅に低減できます。
3. 工程安定性の向上
回流前AOIは以下のプロセス改善にも効果的です。
SPIと実装、回流工程の相関分析
工程トレーサビリティの強化
予兆検知と品質予測
SMTライン全体の効率向上
工程早期での不良検出により、AOIは“事後対策”ではなく“予防的品質管理”を実現します。
なぜ回流前AOIと回流後AOIの両方が必要なのか
回流前AOIを導入していても回流後AOIは必須です。
理由は、以下のような不良が回流中に初めて発生するためです。
はんだ濡れ不足
ボイド
温度差による立碑
はんだボール
回流時の部品浮きやずれ
回流後AOIを省略すると、これらの不良が後工程に流出し重大な品質問題につながります。
最適なSMT品質戦略は次の2段構えです。
回流前AOI 不良の未然防止
回流後AOI はんだ接合の最終品質保証
この組み合わせにより、PCBAの歩留まりを最大化し、リワーク率を最小限に抑えることができます。
まとめ AOI活用によるPCBA品質の強化
回流前AOIと回流後AOIは、どちらもSMT実装に欠かせない品質管理の要素です。回流前AOIは実装不良の早期発見やシールド下の検査を可能にし、回流後AOIははんだ接合品質を保証します。両者を組み合わせることで、データに基づいた強力な品質検査体系を構築でき、生産歩留まり向上とリワーク削減に大きく貢献します。
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