
フレキシブルな電子機器や個性ある製品の増加に伴い、特殊な形状を持つプリント基板は重要な役割を果たすようになりました。しかし、その製造には通常の矩形PCBとは異なる難しさがあります。ここでは、設計と製造における課題と解決策を整理いたします。
1. 特殊形状PCBの重要性
電子機器が小型化-軽量化-個性化する中、特殊形状PCBは機器の構造やデザインに柔軟性を提供いたします。しかしながら、材料ロスや加工精度、組立難易度の増加などの問題を招く可能性があり、設計と製造時にそのバランスを取る必要があります。
2. 設計-製造時の難点
2-1 外形の複雑性
円形、凹形、不規則なエッジなどの形状は、切断や穴あけ、pcb 設計において高精度な加工技術を要求いたします。
2-2 材料ロスと切断工程
複雑な外形は材料の無駄を生みやすく、高精度な切断方法が求められます。
2-3 部品の搭載と実装
特殊形状では部品配置が難しく、SMD部品の活用や最適なレイアウトによって、実装しやすい設計を目指す必要があります。
2-4 加工精度の要求
形状、穴位置、配線パターンなどに対して高い加工精度が必要となり、先進的な設備の導入が不可欠となります。
3. 可製造性(DFM)を考慮した解決策
3-1 設計段階
外形の合理化:過度に複雑な形状を避け、円弧や直線を基調とした設計にいたします。
レイアウト最適化:基板端部の過密化を避け、重要な信号は中央部に集中させます。
部品位置の工夫:SMD部品を活用し、実装のしやすさを確保いたします。
3-2 材料選定
FR?4やCEM?3などの低吸湿-高精度な基材を選定し、高周波用途にはPTFEやセラミックなどの素材を使用いたします。
また、基板の厚みも設計に応じて調整し、反りや加工性への影響を最小限に抑えます。
3-3 精密加工技術
レーザー切断:高精度かつ応力を与えずに複雑形状を加工いたします。
精密ドリル加工:曲面や端部に対しても精度の高い穴あけを実現いたします。
自動化設備:切断、ドリル、配線形成などを自動化し、安定した品質を提供いたします。
3-4 品質検査
外形検査:三次元測定装置により外形精度を確認いたします。
電気テスト:導通、絶縁、高周波特性などを確認いたします。
実装検査:X線検査によって、はんだ付けの状態を確認いたします。
3-5 柔軟な生産プロセス
大型や不規則な形状の基板には、分割切断方式を採用いたします。
テンプレート印刷により、正確な配線パターンの形成をサポートいたします。
まとめ
特殊形状のプリント基板は、現代の電子機器において欠かせない存在となっております。その一方で、設計-加工には高度な技術が求められます。初期段階からDFMを意識し、適切な素材選定と精密加工、さらには厳格な電気テストを組み合わせることで、品質とコストの両立を図ることが可能になります。