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高周波 PCB スタックアップ設計における材料選定とインピーダンス制御

5 0 Dec 23.2025, 10:21:09

高周波電子分野、例えば 5G 通信、RFID、衛星ナビゲーションにおいて、PCB スタックアップ設計の最大の課題は、信号伝送損失の低減とインピーダンスの高精度制御にあります。これら 2 つの目標を達成するためには、適切な材料選定と、理論に基づいたインピーダンス制御設計が不可欠です。高周波基板 の専門メーカーである PCBGOGO は、材料特性と設計プロセスへの深い理解を基に、高周波用途の要求を満たす最適なスタックアップ設計を提供しています。

高周波 PCB における材料選定の基本要件

材料選定は、高周波 PCB スタックアップ設計の第一ステップです。特に重要となるのが、比誘電率 Dk、誘電正接 Df、線膨張係数 CTE の 3 つのパラメータです。

比誘電率 Dk は信号伝搬速度に直接影響し、Dk が低いほど信号は高速に伝送されます。
一方、誘電正接 Df は伝送中のエネルギー損失を示す指標であり、Df が低いほど高周波信号の減衰は小さくなります。

5G ミリ波用基板 において、PCBGOGO は主に PTFE、ポリテトラフルオロエチレン系材料を採用しています。これらの材料は Dk が約 2.1 と安定しており、Df は 0.0009 程度と非常に低く、高周波信号の損失を効果的に抑制できます。

一方、コスト制約のある高周波製品では、改良型エポキシ樹脂材料、例えば高 Tg FR-4 を選定するケースもあります。この場合、Dk は約 3.8、Df は約 0.018 となり、性能とコストのバランスを確保できます。

銅箔選定とスキン効果対策

高周波 PCB では、絶縁材料に加え、銅箔の選定も極めて重要です。
高周波信号はスキン効果により、主に導体表面を流れるため、銅箔表面の粗さが伝送損失に大きく影響します。

そのため、高周波 PCB では表面粗さの低い超低プロファイル銅箔、VLP 銅箔の使用が推奨されます。
PCBGOGO では、表面粗さ Ra が 1.0 μm 以下の VLP 銅箔を採用しています。これは、Ra が 3.0 μm 以上の一般的な標準銅箔と比較して、スキン効果による損失を大幅に低減し、高周波信号の伝送効率を向上させます。

高周波 PCB スタックアップ設計におけるインピーダンス制御

インピーダンス制御は、高周波 PCB スタックアップ設計の中核を成す要素です。
高周波信号はインピーダンス変動に非常に敏感であり、不整合が発生すると、反射やクロストークを引き起こし、最悪の場合はシステム障害につながります。

伝送線路理論に基づき、高周波 PCB では主にマイクロストリップラインとストリップラインの 2 種類の配線構造が使用されます。これらの特性インピーダンスは、層間距離、配線幅、銅厚、比誘電率と密接に関係しています。

マイクロストリップラインのインピーダンス制御設計

マイクロストリップラインは、信号層が PCB 表層に配置され、その下層にグランドプレーンを持つ構造です。
その特性インピーダンス Z0 は、次の式で近似的に算出されます。

Z0 = (87 / √(Dk + 1.41)) × ln (5.98H / (0.8W + T))

ここで、H は信号層と参照平面との距離、W は配線幅、T は銅厚を示します。

PCBGOGO が設計したある RF 用 PCB では、50 Ω の特性インピーダンスを実現するため、シミュレーション解析に基づき、H を 0.2 mm、W を 0.8 mm に設定しました。その結果、実測インピーダンス偏差は ±3 パーセント以内に抑えられ、RF 信号伝送要件を満たしています。

ストリップライン構造による高精度インピーダンス制御

ストリップラインは、信号層が 基板内層に配置され、上下を参照平面で挟まれた構造です。
その特性インピーダンスは、以下の式で表されます。

Z0 = (60 / √Dk) × ln (4H / (0.67π(W + 0.6T)))

ここで、H は信号層と上下参照平面との平均距離です。

ストリップライン構造は外来ノイズの影響を受けにくく、長距離の高周波信号伝送に適しています。
PCBGOGO は、衛星ナビゲーション用 PCB のスタックアップ設計においてストリップライン構造を採用し、差動インピーダンス 100 Ω を安定的に制御することで、高品質な信号伝送を実現しています。

層間位置精度とインピーダンス安定性

高周波 PCB スタックアップ設計では、層間位置合わせ精度も重要な設計要素です。
高周波信号配線は微細であるため、層ずれが発生するとインピーダンスが急変し、信号品質の劣化を招きます。

PCBGOGO では、高精度プレス装置と位置決め技術を用いて、層間ずれを ±0.05 mm 以内に管理しています。これにより、スタックアップ全体のインピーダンス安定性を確保し、高周波用途に求められる高信頼性を実現しています。


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