PCBスタックアップ設計における電源プレーンとグランドプレーンの設計ポイント
PCBのスタックアップ設計において、電源プレーンとグランドプレーンの設計は、電源インテグリティと信号インテグリティを確保する上で極めて重要な要素です。これらの層は単なる給電や接地のための層ではなく、低インピーダンスな電流経路として信号の基準面を安定させ、電磁ノイズの抑制に大きく寄与します。PCBGOGOでは、長年にわたるPCB設計および製造の実績を基に、電源層と接地層の最適な設計ノウハウを蓄積してきました。

まず、電源プレーンとグランドプレーンの配置順は、信号品質に直接的な影響を与えます。高速PCBでは「信号層 接地層 電源層 信号層」というスタック構成が代表的です。この構造では、信号層がグランド層に隣接することで低インピーダンスなリターンパスが確保され、信号反射やクロストークの低減が可能となります。また、グランド層と電源層を近接させることで寄生容量が形成され、高周波デカップリング効果によって電源電圧の安定性が向上します。
PCBGOGOでは、5G通信向けPCBのスタックアップ設計において電源層と接地層の間隔を0.15mmに制御し、電源インピーダンスを10mΩ以下に抑えることで高速信号伝送の要求を満たしています。
次に、電源層および接地層の銅厚設計では、電流容量と放熱性の両立が求められます。IPC-2221規格によれば、銅厚と許容電流は正の相関関係にあり、1オンス銅厚では25度の温度上昇条件下で約1.5A毎mm、2オンス銅厚では約2.2A毎mmの電流を流すことが可能です。
EV充電設備などの高出力用途PCBでは、PCBGOGOは電源層に2から3オンスの銅厚を採用し、同時にグランド層の銅厚も増やすことで放熱性能を向上させています。一方、コンシューマー向け電子機器では薄型化を重視し、1オンス銅厚を選定することで電流要件と基板厚のバランスを取っています。
電源プレーンの分割設計も重要なポイントです。複数の電源電圧を使用するPCBでは、デジタル電源、アナログ電源、RF電源などを分離して設計する必要があります。分割設計の際は、高速信号配線から分割境界を十分に離し、基準面の不連続による信号反射を防止することが重要です。また、異なる電源領域間には通常0.5mm以上の間隔を確保し、電源間干渉を抑制します。さらに、分割境界付近にフィルタコンデンサを配置することで、電源ノイズの相互干渉を低減できます。
PCBGOGOでは、複数電源を持つ産業用制御PCBにおいて、0402サイズのセラミックコンデンサを適切に配置することで、電源リップルを50mV以下に抑え、顧客要求である100mVを大きく下回る性能を実現しました。
グランドプレーンの設計では、信号周波数に応じて単点接地または多点接地を選択することが重要です。低周波信号では単点接地が有効であり、グランドループの発生を防止できます。一方、高周波信号では多点接地によって接地インピーダンスを低減できます。
デジタル信号とアナログ信号が混在するPCBでは、PCBGOGOはデジタルグランドとアナロググランドを分離し、基板下層で一点接続する構成を採用しています。これにより、デジタルノイズがアナログ回路へ影響することを効果的に抑制できます。
さらに、電源層および接地層の開口設計にも注意が必要です。SMT実装エリアでは、はんだパッド直下での開口を避けることで、はんだ流れによるショートリスクを低減できます。また、高い放熱性能が求められるエリアでは、適切な開口とサーマルビアを組み合わせることで熱拡散性能を向上させることが可能です。
PCBGOGOは「設計と製造プロセスの協調」を重視し、スタックアップ設計段階から電源層と接地層の構成を製造工程と連携させています。適切な電源プレーンとグランドプレーンの設計こそが、多層PCBの安定動作を支える基盤となります。