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フレキシブルPCBに最適な厚さを見つける方法
23 0 Aug 11.2025, 11:35:46

プロジェクトに理想的なフレキシブル基板FPC)の厚さを見つけるのにお困りではありませんか?

フレキシブル回路板の厚さを決定する作業は、まるでバランスゲームのようです。厚すぎれば柔軟性を失い、薄すぎれば耐久性が低下します。多くの用途において、柔軟性 - 層数 - 使用環境などの要素を踏まえた「ちょうど良い」厚さ、いわゆるゴルディロックスゾーンは0.1mm---0.5mm程度とされています。この記事では、フレキシブルPCBの厚さを決定するためのポイント、影響を与える要因、そして実践的な設計のヒントを詳しく解説します。

 

なぜフレキシブルPCBの厚さが重要なのか

フレキシブルプリント基板(FPC)は、ウェアラブルデバイスから医療機器まで、軽量でコンパクトかつ高い設計自由度を可能にする現代エレクトロニクスの重要な技術です。剛性PCBとは異なり、折り曲げたりねじったりできるため、限られたスペースや可動部分を伴う用途に最適です。

 

しかし、その厚さは性能、コスト、製造性に直結します。適切な厚さを選ぶことで、機械的ストレスへの耐性を確保し、信号の安定性を保ち、製品のスペース制約にも対応できます。逆に厚さを誤ると、反復曲げでのクラック(厚すぎる場合)や構造的な支持不足(薄すぎる場合)など、信頼性の問題につながります。

 

フレキシブルPCB厚さの基本構造

FPCの総厚さは、基材(ポリイミドなど)、銅配線、接着層、カバーレイ(保護層)などの積層で決まります。超薄型の単層構造では0.05mm程度から、複雑な多層構造では1mm以上になることもあります。

 

基材:一般的にポリイミドを使用し、厚さは12.5μm0.0125mm)---125μm0.125mm)。薄いほど柔軟性は高まりますが、耐久性は低下します。

 

銅箔:銅厚はoz/ft2で表され、1ozは約35μm0.035mm)。0.5oz---2ozが一般的で、電流容量により選択します。

 

接着剤 - カバーレイ:各層が25---50μm程度追加されます。

 

単層FPCでは総厚0.1---0.2mmが目安、多層FPCでは0.5mmを超えることもあります。

 

厚さ選定で考慮すべき要素

柔軟性と曲げ半径

動的に曲げる必要がある場合(折りたたみスマホ、ウェアラブルなど)は0.1---0.2mmが望ましく、曲げ半径は厚さの3---5倍が目安です。静的用途なら0.3---0.5mmで構造強度を確保できます。

 

層数と回路の複雑さ

層数が増えると厚さも増加します。単層は0.1mm程度ですが、4層構造では0.4---0.6mmになる場合があります。

 

電流容量

高電流用途では厚い銅箔(例:2oz70μm)が必要で、これが全体の厚みを増します。低電流用途では0.5ozでも十分です。

 

環境条件と機械的ストレス

自動車や航空宇宙など、振動や温度変化の厳しい環境では0.3---0.5mm程度が安心です。

 

高速信号のインピーダンス制御

高周波用途(例:5GGHz帯通信)では、介在する絶縁層の厚さがインピーダンスに影響します。適切な介電厚で信号品質を確保します。

 

コストと製造性

薄すぎると製造難易度が上がりコスト増に、厚すぎても材料費が増えます。多くのメーカーは0.1---0.5mmの範囲を得意としています。

 

最適な厚さを決めるステップ

用途の明確化:動的用途か静的用途かを定義

 

積層構造の試算:CAD上で基材-- 接着層を加算

 

曲げテスト:試作またはシミュレーションで半径確認

 

信号 - 電源要件の確認:阻抗-電流容量の適合性を評価

 

製造限界の確認:メーカーと仕様をすり合わせ

 

用途別の一般的な厚さ目安

ウェアラブル機器:0.1---0.15mm

 

医療機器(埋め込み型など):0.1---0.2mm

 

自動車電子部品:0.3---0.5mm

 

スマートフォン:0.2---0.4mm

 

航空宇宙用途:0.3---0.6mm

 

柔軟性と耐久性の両立のコツ

電流が少ないエリアでは薄い銅箔(0.5oz)を使用し全体を薄型化

 

部品実装部だけ補強材(ポリイミドやFR-4)を追加し、それ以外は薄く保つ

 

高品質な薄型基材(例:12.5μmポリイミド)で柔軟性と耐久性を両立

 

設計段階で応力解析を行い、厚みを最適化

 

まとめ:フレキシブルPCB厚さのゴルディロックスゾーンを探す

フレキシブルPCBの最適厚さを見つけるには、柔軟性-耐久性-信号特性-コストを総合的に検討する必要があります。多くの設計では0.1---0.5mmに収まりますが、最終的な数値は用途ごとに異なります。影響要因を理解し、体系的な方法で選定すれば、性能と信頼性を兼ね備えたFPC設計が実現できます。

--PCBGOGO



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