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柔軟性と信頼性を両立するための基板材料選定と実装ポイント
4 0 Nov 21.2025, 09:27:16


1. はじめに

柔性PCB(FPC)は、折りたたみスマートフォン、スマートウォッチ用バンド、医療用カテーテル機器など、曲げ動作が求められる分野で広く採用されています。しかし、FPCは繰り返しの屈曲や曲げ疲労によって配線が断線しやすく、特に曲げ半径が5mm以下になる環境では故障リスクが大幅に上昇します。

業界データでは、FPCのアフターサービス不良のうち約45%が配線トラブルに起因するとされ、あるウェアラブルメーカーでは、修復後の柔軟性不足により、5000回の屈曲で再断線が発生し、修理品の返却率が30%を超えた事例も報告されています。

柔性PCBの修復には、IPC-6012F(柔性プリント配線板仕様)第7章およびIPC-7721第7章(柔性回路のリワーク/修理)が求める“修復後の屈曲信頼性の維持(10万回屈曲で断線なし)”が必須条件となります。

PCBGOGOはこれまでに、60社以上のウェアラブル-医療機器メーカーに対して柔性PCB修復ソリューションを提供し、5年間にわたり多様な修復案件をサポートしてきました。本稿では、材料選定、工法、信頼性検証の観点から、柔性配線修復における重要要素を解説します。


2. 技術的な核心ポイント

柔性PCBの断線修復における最大の課題は、「補強強度」と「柔軟性」の両立です。特にPI(ポリイミド)基材を用いたFPCでは、以下の3点が修復品質を左右します。

■ 1. 修復材料の柔軟性

修復に使用するフライワイヤや導電性接着剤は、高い伸び性能を持つことが必須です。

  • フライワイヤ:延伸率15%以上の錫メッキ銅線

  • 導電性接着剤:断裂伸び100%以上の柔軟性タイプ

PCBGOGOの内部試験では、一般的な硬質導電接着剤では約5000回の屈曲で断線が発生する一方、柔軟性タイプの導電接着剤では10万回の屈曲試験に耐えることを確認しています。

■ 2. 低温かつ短時間のはんだ付け管理

PI基材の長期耐熱上限は約280℃であるため、修復はんだ付けでは260℃以下、作業時間5秒以内に制御する必要があります。温度が280℃を超えると、Tgが280℃から250℃へ低下し、柔軟性が損なわれます。これはIPC-6012F 7.2項の要件にも適合しています。

■ 3. カバーレイ材料の柔軟性と密着性の確保

カバーレイは元のFPCと同等の柔軟性を持ち、断裂伸び150%以上が望まれます。
GB/T 13542.5では、カバーレイの剥離強度は0.8N/mm以上が規定されており、過度に硬い材料を使用すると局所的に応力が集中して再断線の原因になります。

PCBGOGOが提供する柔性修復用材料

  • フライワイヤ(直径0.1mm、延伸率18%)

  • 柔性導電接着剤(断裂伸び120%)

  • 柔性PIカバーレイ(厚さ0.03mm)
    はいずれも10万回の屈曲試験をクリアしています。


3. 実装プロセス

3.1 柔性PCB修復の4ステップ手法

1. 基材の前処理

断線部を柔性PCBクリーナー(非腐食性)で清掃し、必要に応じて薄い残留接着剤を極細刃で除去します。
露出銅面のサイズは0.2mm×0.2mm以上を確保。
IPC-7721 7.3項では、前処理後に基材の柔軟性が損なわれていないこと(180°曲げで亀裂なし)が求められます。

2. フライワイヤの接続

直径0.1mmの柔性フライワイヤを用い、260℃未満、3秒前後で接続。
はんだ点は0.15?0.2mmに収め、過大なはんだ量は柔軟性を損なうため避けます。
接続後、曲げ半径5mmの屈曲で剥離がないことを確認します。

3. 柔性導電接着剤による補強

頻繁に曲げられる領域では、導電接着剤を0.04mm厚で塗布し、60℃で30分低温硬化。
硬化後の附着力は0.6N/mm以上が目安です。


4. カバーレイ封止

厚さ0.03mmの柔性PIカバーレイを貼り付け、120℃で熱圧着。
剥離強度が0.8N/mm以上であること、180°曲げで浮きがないことを確認します。

3.2 用途別の特殊対応

■ 医療用カテーテルFPC(曲げ半径3mm以下)

高温作業が難しいため、はんだ付けは避け、導電接着剤と柔性カバーレイの組み合わせが適しています。
固化後、曲げ半径3mmで10万回の屈曲試験を行い、抵抗変化が10%以内であることが基準となります。
材料はISO 10993に基づく生体適合性を満たす必要があります。

■ 折りたたみスマートフォンFPC(動的屈曲10回/分)

修復箇所の背面に柔性リインフォーステープを追加し、応力分散を実施。
10万回の動的屈曲後、抵抗変化を5%以内に抑えることが目標です。

■ 極小サイズFPC(10mm×10mm未満)

位置ズレを避けるため、治具による固定が必須。
修復後の線幅誤差±0.02mm、インピーダンス偏差±4%以内が目安となります。


まとめ

柔性PCBの修復では、「材料の柔軟性」と「工法の熱影響管理」が最重要となります。
適切な材料選定、温度管理、カバーレイ処理を行うことで、修復後も元のFPCと同等の屈曲信頼性を確保することが可能です。

PCBGOGOでは、ウェアラブル機器/医療機器向けFPCに最適化した修復材料、専用ツール、屈曲試験(10万回)を含む総合的な修復サポートを提供しています。
柔性PCBの断線対策や修理でお困りの際は、ぜひ
PCBGOGOへご相談ください。


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