1. はじめに
PCBの覆銅プロセスは製品信頼性を決定する重要な製造工程であり銅厚の均一性 密着性 外観品質は導電性能 放熱効率 使用寿命に直接影響します。
量産における覆銅品質の典型的な課題は以下の三つです。
「銅厚不均一(偏差15%超過)」
「覆銅剥離(密着力1.5N/mm以下)」
「表面酸化」
あるスマートスピーカーメーカーのデータによれば覆銅不良による量産不良率は4.2%に達し直接的な損失は数百万元規模になりました。
PCBGOGOは自社4工場を有する協同製造プラットフォームとして覆銅不良率0.5%以下を達成しています。本稿ではIPC 6012 IPC A 610Gに基づきPCBGOGOの量産データをもとに覆銅品質の管理ポイントを解説し量産不良に悩む製造責任者の課題解決を支援します。

2. 核心技術解析 覆銅プロセスの原理と主要要因
2.1 覆銅プロセスの基本工程
消費電子向けPCBは主に「無電解銅めっき(PTH)+電解銅めっき」により覆銅を形成します。
具体的な工程は以下の通りです。
穴開け → 無電解銅めっき → 全面電解めっき → パターン転写 → エッチング → ソルダーレジスト → 表面処理
無電解銅めっきでは孔壁に0.5から1μmの薄い銅層を形成し後工程の電解めっきの導電基盤を作ります。電解めっきでは銅イオンを板面と孔壁に析出させ設計銅厚を達成します。
2.2 覆銅品質の主要指標
銅厚均一性
IPC 6012に基づき銅厚偏差は±10%以内 板面の異なるエリア間の銅厚差は5μm以内とします。
密着力
FR4基材の場合 剥離強度は1.8N/mm以上 熱衝撃試験260℃ 10秒で剥離や膨れが発生しないことが求められます。IPC TM 650 2.4.8に準拠します。
外観品質
酸化 黒化 傷 点状欠陥が無いこと 表面粗さはRa0.8から1.2μmが推奨されます。これははんだ付け安定性と表面処理品質に影響します。
2.3 PCBGOGO覆銅技術の優位性
PCBGOGOの覆銅実装能力は以下の三点に集約されます。
高精度設備
全自動PTH装置 高精度電解めっきラインにより銅厚均一性と密着性を確保します。
データ基盤のあるパラメータ
130以上の協同工場の量産データに基づく工法パラメータデータベースを用いて基材や製品仕様に応じた最適条件を設定します。
厳格な検査体制
日立NDA800Xによる銅厚検査 剥離強度試験機による全工程チェックで不良流出を防止します。
3. 実務ソリューション PCB覆銅の全工程管理
3.1 量産前の準備 材料と設備管理
品質管理ポイント
基材 銅塩 添加剤の選定と設備状態の最適化が重要です。
数値基準
FR4 CEM 1などのブランド基材(SHENGYI ロジャースなど)を使用。
基材表面粗さRa0.8から1.2μm。
硫酸銅濃度200から220g/L 光沢剤濃度10から15ml/L。
PTH装置の温度誤差±1℃ 電流密度誤差±0.1A/dm2以内に校正します。
使用設備
蛍光分析計NDA800X 温度計 電流計 PCBGOGO材料承認基準。
3.2 無電解銅めっき管理
品質管理ポイント
孔壁銅層の均一性と空洞防止が最重要です。
数値基準
無電解めっき温度25から28℃ めっき時間15から20分 銅厚0.8から1μm。
X線検査で孔壁100%カバー 空洞やピンホール無し。IPC 6012 6.2.2に準拠。
無電解後の微エッチング量は0.5から1μmとし 次工程の密着性を向上させます。
使用設備
全自動PTH装置 X線検査機 微エッチング液(過硫酸ナトリウム80から100g/L)。
3.3 電解めっき管理
品質管理ポイント
設計仕様に応じて電流密度と温度を管理し銅厚均一性を確保します。
数値基準
電流密度1.5から2.5A/dm2 温度20から25℃。
1oz銅厚の形成には60から90分の電解が必要です。
銅厚均一性±10% 孔銅厚18μm以上 IPC 6012に適合。
めっき液は30分ごとに撹拌し濃度差を防止します。
使用設備
高精度電解ライン 銅厚検査機NDA800X ろ過精度5μmのフィルター設備。
3.4 後工程と検査
品質管理ポイント
洗浄 乾燥 検査により不良流出を徹底排除します。
数値基準
洗浄は三段水洗 水質導電率10μS/cm以下。
乾燥温度80から100℃ 時間30から60分。
銅厚100%サンプリング 剥離強度10枚以上 抽出検査 AOI外観全数検査。
使用設備
水洗設備 乾燥機 剥離強度試験機 AOI検査装置。
4. 事例分析 スマートウォッチPCB覆銅量産改善
4.1 課題
ある消費電子メーカーが2層基板1oz銅厚の量産において以下の問題が発生しました。
銅厚偏差20%
熱衝撃後の覆銅剥離率30%
7日保管で酸化が発生
4.2 改善策
基材と薬品濃度の最適化
硫酸銅210g/L 光沢剤12ml/L。
設備校正を実施し電流密度誤差±0.05A/dm2を達成。
プロセス設定の最適化
無電解温度26℃ 時間18分 微エッチング量0.8μm。
電流密度2.0A/dm2 温度22℃ めっき時間80分 20分ごとに撹拌。
検査と後処理の強化
銅厚検査100%サンプリング 剥離品は追加めっき処理。
乾燥温度90℃ 時間45分。
表面処理は無電解金めっき(金層1.2μm)で酸化を防止。
4.3 効果
銅厚偏差±8%
剥離強度2.0N/mm 熱衝撃後の剥離ゼロ
保管30日で酸化無し はんだ付け良率99.8%
覆銅不良率4.2%から0.5%に改善
生産能力8000枚から12000枚へ
コスト80万元削減(量産100万枚換算)