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PCB設計にはどのソフトを使うべきか

2 0 Dec 12.2025, 09:52:47


PCBは電子機器の骨格となる重要な基板であり、その設計品質は最終製品の性能と信頼性に大きく影響します。適切なPCB設計ソフトを選ぶことは、エンジニアやメーカー、学生など、あらゆるユーザーにとって重要な工程です。現在のPCB設計ツールは大きく分けて専門向け商用ソフト、無料オープンソースまたはオンラインツール、そして近年注目されている国産EDAの3カテゴリに分類できます。本稿では各ツールの特徴を整理し、用途に応じた選び方を紹介します。



専門向け商用ソフト 高度な製品開発の主力選択肢

機能の充実度やサポート体制を重視する企業では、商用EDAが主流となっています。

Altium Designerは国内外で高いシェアを持つ統合型PCB設計環境です。原理図、PCBレイアウト、3Dモデリングなどが一貫して扱える点が大きな特徴で、直感的な操作性と豊富な学習リソースにより中小企業やコンシューマー向け製品の設計に適しています。ただし、超高速設計分野では最上位ツールと比較するとやや弱い部分があります。

Cadence AllegroとOrCADは高密度実装や高速信号処理に強く、業界標準とも言える存在です。SI解析や高度なルール設定機能が充実しており、通信機器や航空宇宙など複雑な設計を扱う企業で多く採用されています。一方で、習得コストやライセンス費用が高く、大手企業向けのソフトといえます。

Mentor Graphics(現 Siemens EDA)のXpeditionは自動車電子など大型システム設計に強みがあります。PADSはコストパフォーマンスが良く、プロフェッショナル向けでありながら導入しやすい点から多くの設計会社に利用されています。


無料オープンソース/オンラインツール 入門から小規模プロジェクトに最適

高機能を求めないユーザーや、コストを抑えたいエンジニア、学生には無料ツールが有効です。

KiCadは最も完成度の高いオープンソースPCBソフトで、Windows、macOS、Linuxに対応し、最大32層の基板設計や基本的なシミュレーション機能も備えています。コミュニティ発のライブラリや情報も豊富で、ホビーユーザーや教育用途に広く使われています。ただし、大規模設計では商用EDAに比べ処理効率が低い場面があります。

DesignSpark PCBは無料で利用でき、操作がシンプルで初心者に適しています。Autodesk Fusion 360 Electronicsは機械と電子のハイブリッド設計に便利で、筐体と基板を同時に扱いたいプロジェクトに向いています。


国産EDAと選定ポイント 技術発展とローカルサポートが強み

近年、国産EDAツールも急速に進化しており、華大九天などの企業が開発するEDA製品は射頻設計や車載向け電子機器で成果を挙げています。ローカルサポートが充実しているため、独自の信頼性-セキュリティ環境が求められる企業や研究機関で採用が進んでいます。国内ユーザーで部品調達やクラウド連携を重視する場合は、立創EDAなども候補となります。

PCBソフト選びのポイントはプロジェクトの規模と用途、予算に大きく左右されます。初学者はKiCad、中小企業はAltium DesignerやPADS、大規模で高難度のプロジェクトはCadence AllegroやXpeditionが定番です。オープンソースの自由度を求める場合はKiCadが適しています。


まとめ

基板設計において「絶対に最良のソフト」は存在せず、プロジェクトの要求に最も合うツールが最適解となります。まずは試用版や無料版で操作性を確認し、自社の設計要件に最も適したEDAを選ぶことをおすすめします。各ソフトは技術進化とともに機能が向上しており、PCB設計は今後さらに効率化が進む分野です。


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