1. はじめに
携帯型オシロスコープやポータブルガス検知器などの計測器において、軽量化と小型化は明確な業界トレンドとなっています。PCB はコア部品であり、装置全体の容積の30%--50%を占めるため、小型化基板設計は製品の携帯性を左右します。
現在の課題は「集積度と信頼性のバランス」です。過度な小型化は放熱不良や信号クロストークを引き起こし、量産良率が80%以下に低下します。あるハンディマルチメータメーカーでは、初期 PCB 容積が80cm3、集積度が低いため装置重量が500gを超え、市場競争力を確保できませんでした。

PCBGOGO は小型化 PCB 製造を強みとし、4層精密ルータ基板や FPC の単面/両面基板などにより、最大100点/cm2 の集積度を実現。Fluke、UNI-T などの携帯計測器ブランドに提供しています。
本稿では IPC-2226 および GB/T 15139 に基づき、計測器 PCB の小型化集積における設計要点と工法を解説し、体積を40%削減しながら信頼性を確保するための実践的な手法を示します。
2. コア技術の分析
2.1 小型化集積を実現する3つのアプローチ
小型化は「高密度レイアウト、工法の高度化、機能の統合」によって実現します。
高密度レイアウトにより PCB 面積を削減し、線幅と線間を縮小し、HDI 盲孔や埋め込み孔を採用します。工法の高度化は 01005 などの微小部品実装を可能にし、機能統合により複数モジュールを1枚の PCB に集約することで基板間接続を削減します。
IPC-2226 によると、高密度 PCB の線幅/線間は 0.05mm まで縮小でき、部品密度は80点/cm2以上が目安となります。
2.2 小型化における主要な課題
信号クロストーク: 線幅/線間が 0.1mm 以下になると、隣接信号のクロストークが約30%増加し、信号劣化を招きます。
放熱不足: 高密度配置により電力密度が 2W/cm2 を超えると熱が集中し、部品温度が100℃に達し寿命が低下します。
工法難易度: 01005 部品実装精度は ±20μm、HDI 盲孔加工精度は ±0.01mm が要求され、量産良率の低下要因となります。
機械強度: PCB 面積が縮小すると機械的強度が低下し、振動環境での配線割れが発生しやすくなります。
2.3 PCBGOGO による小型化 PCB の信頼性確保
PCBGOGO は「設備、工法、設計サポート」を組み合わせ、小型化の課題を改善しています。ASM Siemens 高速実装機(実装精度 ±20μm)により 01005 の部品実装に対応。HDI 盲孔工法は最小孔径 0.1mm で、最大集積度は 120点/cm2 を実現。独自開発の DFM 診断モジュールによりクロストークと放熱を改善し、非接触式三次元画像測定器(SharpScope)で微細加工精度を保証します。
3. 実装手法: 計測器 PCB 小型化設計ステップ
3.1 レイアウト最適化: 高密度と低干渉の両立
設計ポイント: 「モジュール分割と高密度配置」を採用し、PCB 面積を削減。信号配線を最適化しクロストークを抑制し、熱が集中しないよう放熱経路を確保します。
基準値: 線幅/線間 0.076mm(銅厚 1oz)、部品間隔は 01005 で 0.1mm、0201 で 0.2mm 以上。電力部品と高感度部品は 3mm 以上離し、1mm 幅の放熱経路を確保します。PCB 面積は従来比 40%削減、集積度は 100点/cm2以上を目標とします。
使用ツール: Altium Designer 22、高密度レイアウトモード。PCBGOGO 小型化レイアウトガイドと HyperLynx によるクロストーク解析を活用します。
3.2 工法高度化: HDI と微小部品への適応
設計ポイント: HDI 盲孔と埋め込み孔を採用し、孔の占有面積を削減。微小部品を用いて集積度を向上し、リフロー工法を最適化して接続信頼性を確保します。
基準値: HDI は 1+2+1 構造、盲孔径 0.1mm、埋め込み孔径 0.15mm、孔密度 50個/cm2。部品は 01005(0.4mm×0.2mm)、WLCSP(ピッチ 0.3mm)を採用。リフローは窒素雰囲気でピーク温度 240±5℃、保温時間 8秒、はんだ接合強度 0.5N 以上を確保します。
推奨部品/材料: Murata 01005 コンデンサ、TI WLCSP、SnBiAg はんだ(融点138℃)。
3.3 放熱設計: 高密度配置での熱管理
設計ポイント: 銅箔、放熱ビア、サーマルパッドを組み合わせ、部品温度上昇を抑制します。電力部品の配置を最適化し熱集中を防止。
基準値: 電力部品下の銅箔面積は部品面積の 1.5倍以上、銅厚 2oz。1cm2 につき 2個の放熱ビア(直径 0.3mm)を配置し、パッド厚 0.5mm、熱伝導率 3W/(m·K) 以上を確保。部品温度上昇は 25℃環境で 40℃以下。
推奨材料: 3M 8805 サーマルパッド、PCBGOGO 熱設計ガイドを推奨。
3.4 構造強度: 機械的耐久性の確保
設計ポイント: 基板形状、補強ビア、高強度材料で機械強度を確保します。
基準値: 基板形状は角R 1mm 以上の矩形、5mm ごとに補強ビア(直径 0.5mm)を配置し、銅めっき厚 35μm 以上。高TG FR4(TG 170℃)を採用し、曲げ強度 400MPa 以上を確保します。
まとめ
計測器 PCB 小型化の要点は「高密度、低ノイズ、高放熱、高信頼」を同時に成立させることです。単に面積削減を優先すると、性能や長期安定性を損ないます。重要となるのは以下の3点です。
レイアウト最適化: DFM ツールと解析を活用し、集積度と放熱/ノイズを両立
工法選定: HDI と微小部品を優先し、高精度製造が可能なメーカーを選ぶ
構造と熱設計: 機械強度と熱分散を同時に確保
PCBGOGO は小型化 PCB 分野に強みを持ち、HDI 盲孔や FPC を含む多様な微小化工法に対応しています。ASM Siemens 高速実装機、非接触式三次元測定などの設備により、01005 部品実装と微細工法精度を保証。さらに DFM 設計コンサルティングを提供し、レイアウト、放熱、構造の課題を現場レベルで改善します。Fluke、UNI-T などの実績により小型化の効果が実証されており、ウェアラブル検知器など極限の携帯用途に向けて、PCBGOGO 技術チームと連携することでカスタム小型化設計が可能です。