SMTリフロー工程におけるグレーピング現象を防止する方法
グレーピング現象(はんだボールの集合体とも呼ばれる)とは、はんだペーストがリフロー中に完全に溶融して単一のはんだ接合へと凝集せず、酸化や乾燥によって微細な粉末粒子が個別に残り、それらがブドウの房のように固まる不良を指します。特に微細ピッチ部品や超小型部品の周辺で発生しやすく、SMT品質や歩留まりに大きく影響します。
本記事では、グレーピングの根本原因と効果的な対策を解説し、安定したリフロー品質を実現するための最適化ポイントをまとめます。

グレーピング現象の主な原因
1. はんだペーストの吸湿および酸化
水分の吸収と酸化は、グレーピングを引き起こす最大の要因です。酸化は以下の状況で進行しやすくなります。
使用期限切れや不適切な温湿度で保管されたはんだペースト
冷蔵庫から取り出した後の予熱不足または攪拌不足
供給後に長時間空気に晒され乾燥した状態
印刷前にステンシル清掃溶剤が完全に揮発していない場合
酸化が進むと、リフロー時にはんだ粒子が十分に濡れず、融合できずにボールとして残りやすくなります。
2. フラックスの早期揮発
フラックスは酸化物除去と濡れ性向上に不可欠であり、はんだ粒子を酸化から保護する役割を持ちます。しかしフラックスが早期に揮発すると、はんだペーストは急速に乾燥し、活性を失い、凝集性が低下します。
早期揮発が発生する要因例:
ステンシル上での滞留時間が長い
プリヒートエリアが長過ぎる
はんだペーストの劣化
これらはグレーピングの直接的な原因となります。
3. リフロー温度または熱供給不足
ピーク温度または液相線温度以上の保持時間(TAL)が不足すると、はんだ粒子が完全に溶融せず、酸化してボール化しやすくなります。特に0201などの微小パッドは表面積比が大きいため、酸化とフラックス乾燥の影響を受けやすく、グレーピング発生率が上昇します。
グレーピングを抑制する効果的な対策
1. 高活性フラックスを採用したはんだペーストの使用
高活性フラックスは酸化物除去能力が高く、濡れ性と凝集性を向上させ、軽微な印刷誤差や環境変動を補正します。微細ピッチ部品には特に有効です。
2. はんだペースト塗布量の適正化
はんだ量を増やすことで熱容量が確保され、表面積に対する空気との接触比率が下がります。これにより酸化リスクが低減し、濡れ性が安定します。
3. ステンシル開口設計の最適化
ステンシルの設計改善は、はんだ量およびフラックス量を安定させ、グレーピング防止に大きく寄与します。
効果的な施策例:
ステンシル厚みを0.10 mmから0.12 mmへ増加
微小部品向けに開口サイズを適切に拡大
ナノコーティングにより付着や乾燥を低減
4. リフロー温度プロファイルの調整
フラックスの過度な揮発を防ぐためには温度プロファイルの最適化が重要です。
プリヒート区間を短縮
昇温レートを適度に上げる
ピーク温度を安定させ、十分な濡れ性を確保
適切なプロファイル設定により、リフロー前の乾燥を抑え、安定した溶融と凝集を実現します。
5. 窒素リフロー環境の導入
窒素雰囲気は酸化の進行を大幅に抑制し、フラックスの効果を最大限に高めます。特に微細ピッチ部品では、窒素リフローによるグレーピング抑制効果が顕著です。
まとめ
グレーピング現象は、はんだペーストの酸化、フラックスの早期揮発、熱エネルギー不足といった複合要因によって発生します。高活性はんだペーストの採用、ステンシル設計の最適化、環境暴露の管理、リフロー温度プロファイルの改善などを組み合わせることで、不良発生率を大幅に低減し、SMT品質と歩留まりを向上させることが可能です。
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