
電子機器の基板(プリント基板、PCB)には、金(ゴールド)が微量ながら含まれていることをご存じでしょうか。スマートフォンやパソコン、家電製品などに使われている基板には、導電性や耐腐食性に優れた貴金属が使われており、その中でも金は高価な金属としてリサイクル価値が高い素材です。
この記事では、基板から金を取り出す基本的な方法と、注意すべきポイントについてわかりやすく解説します。
基板に含まれる金の用途とは?
金は、電気的な導電性が非常に高く、酸化や腐食にも強いため、電子部品の接点やコネクタ部分に多く使用されます。特に高性能なデバイスでは、信号の損失を最小限に抑えるために、金メッキ処理されたパッドや端子が採用されております。
これらの金は使用済みとなった基板でも残存しており、適切な方法で回収することで再利用が可能となります。
基板から金を取り出す一般的な方法
1. 手作業で部品を分離します
まずは、基板から表面実装部品やコネクタなどを慎重に取り外します。金が含まれている可能性がある部分を選別する作業が重要です。
2. 化学処理による金の溶出を行います
次に、金を溶かし出すための薬品処理を行います。一般的には「王水(濃硝酸と濃塩酸の混合液)」が使われますが、取り扱いには専門的な知識と設備が必要です。この工程では、金以外の不純物も溶け出すため、ろ過や沈殿処理を行いながら純度を高めていきます。
3. 還元処理で金を回収します
溶液中に含まれる金を還元剤で沈殿させることで、金を金属の状態に戻します。その後、ろ過して乾燥させると、微粒の金が得られます。
注意点と安全対策
基板から金を取り出す作業は、化学薬品の使用や高温処理を伴うため、個人レベルで行うにはリスクが伴います。薬品の取り扱いには換気設備や保護具が必要であり、廃液の処理にも厳格なルールが存在します。
また、金の含有量は1枚あたり非常に少なく、大量の基板を処理しないと採算が取れないケースがほとんどです。そのため、専門業者に依頼することが一般的です。
リサイクルと環境への配慮
電子基板に含まれる貴金属のリサイクルは、資源の有効活用だけでなく、廃棄物の削減にも貢献します。環境負荷を最小限に抑えつつ、貴重な金属を次世代の製品に活用するためにも、適切な回収方法が求められております。
まとめ
基板から金を取り出す方法には、高度な技術と安全対策が必要です。個人での実施は難易度が高いため、信頼できるリサイクル業者に依頼することをおすすめします。