両面基板SMTで製品を「スリム化」する秘訣
現在の電子機器開発において、「小型化-軽量化」は製品競争力を左右する重要な要素です。スマートフォンはより薄く、ウェアラブルデバイスはより小さく、携帯機器は持ち運びやすさが求められています。その結果、PCBサイズは年々小型化していますが、実装部品の点数は減るどころか増加する傾向にあります。
限られた基板面積に、どのようにしてすべての部品を配置するのか。その有効な解決策が両面基板SMTです。表裏の両面に部品を実装できることで、基板スペースを最大限に活用できます。本記事では、技術運営の視点から、両面基板SMTによって製品をスリム化するための実践的なノウハウをご紹介します。

1. 表裏を機能別に分けるレイアウト設計で、無駄なスペースを削減
両面基板SMTの本質は「スペースの再利用」にあります。ただし、単純に裏面へ部品を移せば良いわけではありません。重要なのは機能ごとのゾーニング設計です。
一般的には、表面にメイン制御ICや高周波信号部品を配置し、裏面には抵抗、コンデンサ、インダクタなどの受動部品を配置する構成が効果的です。これにより信号干渉を抑えながら、基板全体の実装効率を高めることができます。
例えば、スマートウォッチ用PCBでは、表面にMCUやディスプレイドライバICを配置し、裏面に電源管理ICや受動部品を集約することで、ディスプレイ取り付けスペースを確保しつつ、製品厚みの増加を防ぐことが可能です。
PCBGOGOでは、DFMレビューを通じて以下のような最適化を行っています。
?発熱部品を表裏に分散配置し、局所的な熱集中を防止
?高周波回路と低周波回路を分離し、クロストークを低減
?スマートパネル化による材料利用率向上(最大約90%)
これにより、実質的に1枚あたりの基板面積を削減する効果が得られます。
2. 超小型部品と高精度実装で、さらなる省スペース化を実現
基板の小型化を進める上で、部品サイズと実装精度は非常に重要です。両面基板SMTでは、01005サイズの超小型チップ部品に対応可能で、従来の0402部品と比べて面積を大幅に削減できます。同じ部品点数でも、約30%のスペース削減が可能です。
また、PCBGOGOではシーメンス製高速マウンターを採用し、実装精度は±50μm、繰り返し精度は±30μmを実現しています。部品間ピッチは最小0.2mmまで対応可能で、単面基板の一般的な0.3mm間隔よりも高密度な実装が可能です。
実際に、完全ワイヤレスイヤホン向けPCBにおいて、20mm×30mmの基板サイズを15mm×25mmまで縮小した事例があります。01005部品を採用し、受動部品をすべて裏面に集約、表面には主要ICのみを配置しました。AOIによる全数検査を実施した結果、量産時の実装良率は99.2%以上を安定して維持しています。
3. 混載工法対応で、不要な変換基板を削減
多くの製品では、SMT部品だけでなく、コネクタやセンサなどの挿入部品も必要になります。単面基板の場合、変換基板を追加したり、基板サイズを拡大したりする必要があり、結果として製品が大型化してしまいます。
両面基板SMTであれば、表面にSMT実装、裏面に挿入部品という構成が可能です。追加基板を使用せずに済むため、製品全体のサイズ削減につながります。
PCBGOGOの両面基板SMTラインでは、リフローはんだ付けとフローはんだ付けを組み合わせた混載工法に対応しており、1工程で完結する生産が可能です。
例えば、携帯型血糖測定器では、試験紙用コネクタの関係で単面基板では25mmの長方形基板が必要でした。両面基板に変更し、裏面にコネクタを配置、表面にSMT部品を集約することで、20mm角の正方形基板に変更でき、製品体積を約24%削減することに成功しました。
両面基板SMTが製品をスリム化できる理由
両面基板SMTによる小型化の本質は、
スペースの有効活用と精密な実装制御にあります。
?表裏レイアウトによる基板面積の削減
?超小型部品による高密度実装
?混載工法による部品点数と基板数の削減
もし「部品点数が多く、基板スペースが足りない」という課題をお持ちであれば、両面基板SMTは有力な選択肢です。
PCBGOGOでは、DFM設計最適化、部品選定アドバイス、実装生産までを一貫してサポートしています。01005サイズ部品の無料試作対応や、最短24時間のスピード対応も可能です。製品の小型化を検討されている場合は、ぜひ技術チームまでご相談ください。