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バックドリル  vs  ブラインド-ベリッドビア

3 0 Dec 16.2025, 14:30:33


高密度-高速PCBを設計する際、多くの基板エンジニアが「バックドリルを使うべきか、それともブラインド-ベリッドビアを採用すべきか」という選択に悩みます。結論から言えば、この2つの工法に絶対的な優劣はありません。コスト、ロット数量、信号要件、PCB層数など、設計条件によって最適解は変わります。本記事では、技術的な観点からPCB回钻(バックドリル)と盲埋孔の違い、メリット-デメリット、具体的な適用シーンを詳しく解説し、最適な選択をサポートします。

1. まず理解しておきたい両者の基本的な違い

混同されやすいため、まずは原理をわかりやすく整理します。

バックドリル

通孔を一度完成させた後、不要なスタブ部分を二次ドリル加工で除去する工法です。
工程としては「通孔形成 → 銅めっき → 回钻加工」という流れになり、一度すべて貫通させてから不要部分を削る減算的な工法といえます。

ブラインド-ベリッドビア

最初から指定した層間だけをドリル加工し、一度で完成させる工法です。
例えば、表層から第2層までのみを接続するなど、必要な部分だけを形成する加算的な工法になります。
二次ドリルは不要です。


2. 技術的な違いを5つの視点で比較

バックドリルは、ブラインド-ベリッドビアと比べて製造コストが約30%から50%低く抑えられるケースが多く、工程も比較的シンプルです。

位置精度はおおよそ±0.005mmで、一般的な高速設計には十分対応できます。一方、ブラインド-ベリッドビは位置精度が高く、±0.003mmレベルまで制御可能です。寄生容量もさらに小さく、高速-高密度設計において信号品質の安定性に優れていますが、その分工程は複雑で、コストも高くなります。ロット数量の観点では、PCB回钻は100枚から1000枚程度の中小ロットで高いコストパフォーマンスを発揮します。ブラインド-ベリッドビは、1000枚以上の量産時にコストメリットが出やすい工法です。


3. 用途別の選定ガイドライン

ケース1:高速PCB(信号周波数1GHz以上)+中小ロット

この条件では、PCB回钻が最適です。

5G通信モジュールやサーバー向け評価用PCBなど、高速信号が必要でもロットが大きくない場合、回钻により低コストでスタブを除去し、十分な信号品質を確保できます。

実際に、1.5GHzの通信PCBを300枚製造した事例では、ブラインド-ベリッドビアと比較して約40%のコスト削減を実現し、反射損失も-28dB以内に抑えられました。ブラインド-ベリッドビアを採用した場合、専用治具が必要となり、コストと納期の両面で不利になります。


ケース2:高密度PCB(12層以上)+大ロット

スマートフォンのメインボードや高性能ドローン制御基板のように、層数が多く、ビア密度が高く、かつ量産前提の場合はブラインド-ベリッドビアが適しています。

盲埋孔は高精度で信号特性が安定し、ロットが大きくなるほど設備-工程コストを分散できるため、量産時のトータルコストが下がります。

なお、12層未満の高密度PCBであれば、必ずしも盲埋孔が必須というわけではなく、回钻で十分対応可能なケースも多くあります。


ケース3:コスト重視+精度要求が比較的緩い場合

産業用制御基板や一般的な民生用電子機器など、信号周波数が500MHz以下で、位置精度の許容範囲が±0.01mm程度の場合は、PCB回钻が最も堅実な選択です。

必要以上にブラインド-ベリッドビを採用すると、性能面では過剰設計となり、コストだけが増加してしまうことがあります。


4. 実務で役立つ2つの選定ポイント

DFMレビューを事前に実施する

どちらの工法を選ぶにしても、製造前にDFMレビューを行うことが重要です。
PCB層数、ビア径、信号周波数をもとに、「回钻で要件を満たせるか」「盲埋孔にした場合のコスト増はどの程度か」を明確にすることで、無駄な設計変更を防げます。

PCBGOGOでは無料DFMレビューを提供しており、設計段階で最適な工法を具体的に提案できます。

小ロット試作で検証する

判断に迷う場合は、まず50枚程度の小ロット試作で信号品質と信頼性を確認するのがおすすめです。
回钻で要件を満たせれば、そのまま量産に進むことができ、不足があれば盲埋孔への切り替えを検討する、という段階的な判断が可能です。


まとめ:重要なのは「工法の格」ではなく「設計との適合性」

PCB回钻と盲埋孔の選択で最も重要なのは、自社製品の要求仕様に合っているかどうかです。

中小ロット-高速信号-コスト重視であればPCB回钻。
大ロット-高密度-高精度要求であれば盲埋孔。

「より高度な工法=最適」というわけではありません。
設計条件に合った工法を選ぶことが、性能-コスト-納期の最適化につながります。

判断が難しい場合は、両工法に対応可能なメーカーに相談するのが有効です。
PCBGOGOでは、設計条件に基づいたカスタマイズ提案を行い、最適なバランスを実現します。


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